災害に強いまちをつくるための「三つのアプローチ」
予測がつかない災害の時代
予測を超えた大地震となった東日本大震災を経験し、近い将来、首都直下型地震や東海・東南海地震などの巨大災害が予想される日本にあって、災害に強いまちをどのようにつくるかは緊急の課題です。特に近年は、気候変動による水害のリスクも高まっており、従来の予測の範囲内では、まちが守れない可能性が大きくなっています。
災害に強いまちをどうつくるか
災害に強いまちづくりを考えたとき、次の三つのアプローチが必要です。(1)人間の本質を理解した上で考える、(2)自助・共助・公助のあるべき姿を理解する、(3)災害イメージを高める、です。(1)の「人間の本質」とは、「人間は自分に都合よく考えるものである」ということです。人間は「自分だけは大丈夫」と考えがちです。また都市に住む人は、大自然の中で暮らす人より、自然災害への警戒心が薄いものです。(2)の自助とは個人、共助とはまち、公助とは行政のことです。個人が自己防衛に取り組み、町内会が防災訓練を企画し、行政は適切な防災施策を講じるなど、三者のバランスのとれた連携が必要です。しかし、得てして、個人の防災への取り組みは疎かになりがち、防災訓練は形骸化しがち、防災施策は財政面から進まなくなりがちです。(3)は、災害は時代や地域によって、現れ方や被害の変化をとらえようということです。過去の大災害に学びつつも、それに縛られすぎてはいけません。地形や自然の様子、住む人々が違えば、災害の様相も変わってきます。過去に学びつつ、未来を想像する必要があります。
「地域安全システム学」の課題
「地域安全システム学」とは、こうした防災・まちづくりについての新しいアプローチを研究し、開発していく学問です。経済の低成長の時代に入り、少子高齢化が進む時代にあっては、これまでとは違う防災のあり方が求められています。コンピュータの活用、新しい社会システムの考案、社会への技術の還元なども、この分野の重要なテーマなのです。
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