新幹線は、なぜカモノハシ型に「進化」したか!?

新幹線は、なぜカモノハシ型に「進化」したか!?

とんがり型からカモノハシ型への「進化」

世界一の高速鉄道として日本が誇る新幹線。しかし、新幹線の優れたところはスピードだけではありません。騒音対策にも、他国に先駆けた研究成果が盛り込まれています。
それは新幹線の先頭形状です。新幹線の先頭部分は、初期の団子鼻のような丸い形から、ドリルのようにとがった500系に見られる形状を経て、最近は700系に代表されるカモノハシのくちばしのような独特のカーブを描く形に変わってきました。この形状の「進化」には、新幹線がトンネルに突入するときに発生する音を抑えるため、流体力学の観点から列車形状を研究した成果が生かされているのです。

列車まわりの空気の流れをとらえる

列車が高速でトンネルに突入すると、トンネル出口側でドーンという音が発生する場合があります。従来はトンネル内に入った列車の体積分だけ空気が圧縮されて音になると考えられていたので、先頭部分をできるだけ細長くして音を小さくしようとしていました。90年代の初めにかけて、新幹線がとがった形になっていったのはそのためです。
その後、列車まわりの空気の流れをコンピュータでシミュレーションできるようになり、トンネル内で生じる空気の流れと発生する音との関係がより緻密に研究されるようになりました。その結果、列車によってかきわけられた空気の流れがトンネルの壁面にせき止められて圧縮され、それが音の発生につながることがわかったのです。

空気を「上手く」かきわける

原因がわかれば対策が立てられます。つまり、なるべく音を発生させないような空気の流れを生む列車の形状を、流体力学の知識に基づいて設計すればよいのです。幸いなことに、列車の形状とそのまわりの空気の流れの間には、理論的な関係式が立てられます。それを利用して、音が発生しないように空気を「上手く」かきわけられる形状を計算した結果出てきたのが、カモノハシ型だったのです。
日本が誇る世界一の高速列車は、さまざまな研究と技術の成果を反映しながら、現在も進化を続けています。

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成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 小川 隆申 先生

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何かを習得する過程には共通のものがあります。例えばテニスの場合、最初はラケットを振るのもぎこちなく、ボールも上手く打てません。でも、地道に練習を続けていると、ある日、直感的にラケットが振れ、上手く打ち返せる瞬間がやってきます。勉強も同じです。最初はただ覚えるだけだったり、公式や法則の意味が理解できないこともありますが、毎日考え続けていると、ある日ふと「そういうことだったんだ」と視界がパーっと開ける瞬間が訪れます。最初のこの壁さえ乗り越えれば、スポーツも勉強も本当の楽しさに出会えるのです。

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