「触譜」とは? ~触覚へのアプローチが開く未来~
感性をとりだし記述・分析する
「おはようございます」、この一言の「言い方」で、私たちは相手の状態を察知します。ほかにも「頭の下げ方」「雨の降り方」など、私たちは「○○の仕方」から感性を情報化しています。「○○の仕方」とはつまり「強さの変化の仕方」です。この強さの変化から感性を抽出できるのです。
その強さの変化の仕方を記述するため「触譜」がつくられています。楽譜は「音の高さと長さ」を記述しますが、触譜は「強さと長さ」を記述します。触譜により、さまざまな「仕方」から感性情報を取り出せるようになりました。例えば触譜により熟練技術者のマッサージを記述することで、楽譜により音楽を演奏するように、触譜により熟練者のようなマッサージができるようになりました。最近では作曲家のようにマッサージや触覚をデザインする「作触家」も生まれています。ほかにも音楽演奏の仕方を触譜化することで、ピアニストの「演奏の仕方」を取り出して、類似度でマップ化するなど、さまざまな感性の抽出・分析が可能となりました。
IoT技術に「血を通わせる」
スマート家電や人工知能など多くのIoT・情報技術は、主に「データと論理」でつくられています。これらの技術に触譜により抽出した感性を組み合わせることで、システムが感性を持つことができます。例えば、あなたの生体データの感性情報を分析し「気分を察したサービスの提供」を行い、その反応の仕方から反省するような「ヒトの思いを察する」人工知能がつくれます。
道具からパートナーへ
私たちの脳に例えると、これまでの研究は左脳にあたる「データ・論理処理システム」の構築に相当します。これに、触譜により右脳にあたる感性情報処理システムを付け加えることで、これまで「道具」だったシステムに魂を吹き込み「パートナー」へ変身させることができます。一緒に喜んだり、悲しんだりしながら共に理解して成長する「ドラえもん」のようなシステムの実現はすぐそこです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 情報学部 自然情報学科 准教授 鈴木 泰博 先生
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情報科学、人工知能学、感性情報学、触覚学先生が目指すSDGs
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