食品の機能成分が健康を維持し、病気を防ぐ時代がやってくる!
食品の持つ役割を知ろう
食べ物の中には、さまざまな成分が含まれていて、いろいろな機能を持っていることがわかっています。食品の機能としては大きく分けて3つあり、1つは栄養源・エネルギー源として毎日の活動を支えたり、成長期に体を大きくしたりするものです。2つめは嗜好(しこう)的な要素で、おいしいものや好きなものを食べることで幸せな気分になったり、心をリラックスさせたりします。そして、3つめは食べることで健康維持や老化を予防する機能です。
この3番目の機能に着目したのが食品に含まれる機能成分の研究です。テレビでもよく紹介されるポリフェノールやカテキンなども、健康維持に役立つとされる機能成分です。
生活習慣病の改善や予防にも高まる期待!
食品の機能は、生活習慣病の改善や予防の点でも注目されています。生活習慣病とは不適切な食事や喫煙・飲酒といった生活習慣に起因するとされる病気の総称で、例えば高血圧や糖尿病、動脈硬化などです。
その原因の1つに「活性酸素」があります。もともと人間は酸素を吸ってエネルギーを得ていますが、中には体にとって良くない活性酸素に体内で変化するものが存在します。それが過剰に溜まった状態を「酸化ストレス」と呼び、生活習慣病の1つの要因と言われています。それに対し、ポリフェノールには酸化を防止する抗酸化能力があります。
今こそ医食同源が求められている
食べ物は薬のように劇的な効果は期待できないものの、食品で病気を予防できる可能性は十分にあります。また最近では、農学や医学と産業界の連携も進んでいて、将来的には食品の機能成分の研究が機能性食品や医薬品などの開発につながると期待されています。
国内の糖尿病の患者および予備軍は1000万人と言われ、高額な医療費で悩むケースも少なくありません。そうした問題を解決し、超高齢社会の中で生き生きと活動できるようにしていくことも、食の分野からの挑戦なのです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 農学部 応用生命科学科 食品機能化学研究室 教授 柴田 貴広 先生
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