スポーツは本当に地域を活性化させているのか
地域の元気=人口増、所得増
「スポーツで地域を元気に」。こんなフレーズを聞いたことがあるでしょう。「元気=地域活性化」ととらえられ、例えばその地域の人口増や所得増などのデータによって可視化できます。こういったデータを分析すると、スポーツが地域活性化に貢献できているのかどうかが少しずつ浮き彫りになってきます。
時系列と相関関係を調べる
日本においてスポーツが地域活性化につながっているのかを探るには、まず調査する市町村が「スポーツのまち」としてどの程度認知されているかを知ることから始めます。
分析には2次データを用いて、「○○市のイメージは?」というアンケートに対して「スポーツ」と回答した割合が高いほど、その市町村が「スポーツのまち」であるとします。全国トップクラスに割合が高かったのは鈴鹿サーキットのある三重県鈴鹿市、そしてJリーグクラブのある静岡県磐田市や茨城県鹿嶋市などでした。そして、それとそれぞれの市町村の地域活性化指標の経年変化を探って数値の関連性を調べます。つまり、それぞれをグラフ化したときに右肩上がりであれば「スポーツが地域活性化につながっている」と判断できます。
スポーツが人口増に寄与するのか
スポーツの力だけで人口の増加、あるいは相対的な維持は難しいと考えられましたが、分析を進めると、実際に関連があることがわかってきました。その要因については現在も研究が進められていますが、より精緻なデータを活用できればその理由が解き明かされる日もそう遠くないでしょう。また、これは日本の市町村全体としての結果であり、市町村によっては特異な活性化につながっているケースもあります。この研究を進めて活性化につなげるための要点を明確にして、フィードバックしていくことができれば、スポーツによって地域、そしてそこに住む人の生活が豊かになる未来を創造できるはずです。
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先生情報 / 大学情報
龍谷大学 社会学部 総合社会学科 健康・スポーツ社会領域 ※2025年4月新設 准教授 大西 孝之 先生
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