予防医療や健康維持のために、強い細胞・組織づくりをめざす

予防医療や健康維持のために、強い細胞・組織づくりをめざす

細胞を強くして健康を維持

理学療法学は予防医学に関わる学問でもあり、人の健康維持・促進に貢献します。さまざまな手法がありますが、細胞レベルで検証する分野もあります。
人の体は、骨や筋肉、脳といった組織を含めて「細胞」でできています。細胞を強くすれば、簡単には壊れない組織ができて、長く健康を保てる未来が来るかもしれません。では、細胞や組織を強くするには、どうすればいいのでしょう。一般に健康によいとされる食事や運動は本当に有効なのでしょうか。まだ、体内で起きていることのすべては解明されていません。医学や分子生物学、情報学、応用化学などを活用した研究により、徐々に明らかになっています。

再生医療にも役立つ

細胞を守る細胞膜は、主に脂質で構成され、さまざまな環境刺激を細胞内に伝える入り口です。その細胞膜に鍵をかけることができれば、環境刺激から細胞が働く機能を制御できるかもしれません。
一つの例として、運動はなぜ効果的なのかという問いに対して、細胞膜に存在する機械受容器の閾値(いきち)を変化させることがわかっています。さまざまな検証から、環境変化によって細胞や組織を強くすることがわかりつつあるのです。将来、細胞を意図的に強化できるようになれば、移植する前の細胞を事前に強化することで、移植後の回復がスムーズになる再生リハビリテーションへの貢献も期待できるかもしれません。

あらゆる人の予防医療へ

健康を保つには、老化による細胞の変化や、けがや病気になるメカニズムの解明も欠かせません。これらも遺伝子解析によって明らかになりつつあります。こうした細胞に関する研究が進めば、発症予防や、早期発見、早期治療などに役立てることができます。万が一、病気やけがをしても、効果的なリハビリテーションや再発防止が可能となります。さらに、高齢者の健康寿命を伸ばすこともできます。スポーツをする人のけが予防や、パフォーマンス向上のトレーニングにも応用できるでしょう。細胞レベルの検証は、すべての人の健康につながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科 准教授 村田 健児 先生

埼玉県立大学保健医療福祉学部 理学療法学科 准教授村田 健児 先生

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理学療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

何かが起きたときに、原因を探る矢印をまず自分に向けてください。自分に原因がないか、自分自身を振り返ると、何か改善できることや気づくことがあるかもしれません。そして、達成したい目標・目的に対するプロセスや判断にほかの選択肢がなかったかもう一度考えてみてください。
その過程で、わからなければ、誰かに聞くこともできます。わからない、できないことを人に言える「オープンマインド」があれば、いろいろな人の意見を聞けるようになります。こうした力は、これからのあなたの未来で必ず必要となることでしょう。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

埼玉県立大学に関心を持ったあなたは

埼玉県立大学は、保健・医療・福祉の「連携と統合」を目指し、学科を超えた地域活動・研究活動を行っています。多くの優秀な若者たち、明日の社会づくりの希望を持った若い力がいつかそれぞれの地域や職場で、あるいは世界のどこかで、高い志と豊かな感性、深い知識や技術を持って貢献できる可能性を秘めた人材として育っていけるよう全力で応援します。