対面でもオンラインでも、大切なのは「人との関わり」
対面と同じ効果が、オンラインでも
新型コロナウイルス感染症の影響で外出が自由にできない日が続き、高齢者は、それまで楽しく友だちとおしゃべりしていた機会を失いました。外出の回数も減り、足腰も弱ったことで元気もなくなり、中にはうつの症状が出た人もいました。高齢者にとって、日常生活の変化は体調に大きく影響します。そこで、少しでもこれまでの環境を取り戻すために、オンラインで画面越しに顔を見ておしゃべりをしたり、笑いあったりする機会を設けました。すると、実際に対面したときのように気持ちが上向き、元気とやる気を取り戻せることがわかりました。
オンラインでの「介護予防体操」と「語り」
多くの高齢者にとって慣れないオンライン操作ですが、こうした挑戦そのものが脳に良い影響を与えます。実際に自宅で高齢者向けのヨガで体を動かしてもらったほかに、全国各地のご当地ネタを取り入れた介護予防体操が行われました。その時、一緒に参加者ゆかりの故郷の思い出を話してもらいました。昔の幸せな時期を思い出して話す行為は、脳内に幸せホルモンを分泌させ、認知症予防にも効果的です。これを「回想法」と言います。
こうしたオンラインでの取り組みが、対面と同等の効果を発揮できるか、あるいは数値に表れるかは不明です。しかし、コロナ禍直前に夫を亡くして意気消沈としていた女性が、オンラインで一緒に行う体操を「楽しい」と感じ、みんなの顔を見て「うれしい」と前向きに話してくれた例もあります。数値以外にも、このような「語り」で、結果を測れるのではないかと期待されます。
「人との関わり」は認知機能にも良い影響が
「人との関わり」による会話や感情の動きは、脳を活性化させます。それに伴う「外出」という運動は、体力維持に効果的ですし、体を動かすと気持ちが前向きになります。そのため、認知症予防にも「人との関わり」は良い影響があると考えられます。対面であれオンラインであれ、「人との関わり」は健康寿命を延ばすための対応策と言えるでしょう。
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森ノ宮医療大学 看護学部 看護学科 教授 外村 昌子 先生
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