看護師をめざすあなたへ ナイチンゲールが贈る言葉とは?
患者さんに寄り添うことが重要な時代
近代看護教育の生みの親でもあるナイチンゲールは、「病気ではなく、病人をみる」と言い続けていました。これこそが、看護師のベースとなるものです。近年の医療現場は、最先端の医療技術が導入され、医療や看護が標準化・効率化されつつあります。もちろん、病気やけがを治すための最適な治療は重要です。でも、そこで置き去りにしてならないのが、不安や怖さなどを抱えた「患者さん」です。標準化・効率化の時代だからこそ、看護師の患者さんに寄り添う力が必要になっているのです。
患者さんに寄り添う看護とは
患者さんは一人ひとり異なります。不安から、人によって食欲不振になったり、不眠になったりします。症状だけをみても、不安を改善しなければ解決にはなりません。乳がんの手術などでは、「乳房を残すか否か」といった患者さんの意思決定にも寄り添います。
「病人をみる」ための情報は、病気の治療経過を記録する電子カルテには記載されません。そこで、患者さんが抱えている悩みや思い、症状や状態、対応した内容と改善プランなどを記録しデータベース化する取り組みが進んでいます。こうして蓄積された情報は先輩看護師の知恵を後輩に伝えるものとなり、看護師の教育用の「eラーニングシステム」としても活用できます。
「病人をみる」と看護はまったく異なるものになる
「病気」だけをみている看護師と、「病人をみること」をベースにする看護師とでは、看護の質がまったく異なります。終末期を迎えたある患者さんと、その死を受け入れられない家族の双方に寄り添い、配慮を尽くした看護師がいました。その看護師によって、患者さんは満足し、遺族は前を向いて歩むことができました。
もちろん、なぜその症状が出るのかといったエビデンス(根拠)や治療をサポートする看護の知識は不可欠ですが、その上で患者さんに寄り添う総合力が大切なのです。今後は、そうしたスキルをもつ看護師が、より一層必要となってくるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 看護学部 看護学科 教授 杉浦 美佐子 先生
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