「今」を知るために「過去」を知る~中国近代史の新しい局面とは?~
故きをたずねて新しきを知る歴史研究
中国近代史を語るためには、まず日本の平安時代にあたる10世紀以降くらいからをバックボーンとして学びます。また、歴史研究にはたくさんの資料やデータが必要なのですが、その点、近代史は資料が豊富にあります。外交や貿易の出来事は相手国にも資料が残っていて、合わせるとよりわかりやすくなります。
これからの世界で生きていくために、日本人は隣国の中国のことをしっかり知ることが必須です。中国人の言動を理解し、「今」の中国を知るためには、「歴史」を踏まえることが重要なのです。
周囲との比較により特異性は際立つ
日本とヨーロッパは「東洋」と「西洋」という文化の違いを打ち出してきましたが、実は考え方や価値観は似ている面があります。むしろ中国やアジアの方が意外性に富み、常識が異なります。また、異文化理解には地理的環境も重要です。地理的環境が異なれば、当然暮らしぶりが左右され人の結び付き方も違ってきます。その面ではインド、ロシア、中国、イスラムに共通点があります。中国を通してさまざまな文化を比較することができ、新たな世界を知ることができます。
今まさに歴史の目撃者とならん
中国では、計画経済から市場経済に移行し高度経済成長を遂げる中で、共産主義体制下で、これまでは考えられなかった腐敗や汚職が出てきました。でもそうした政治的腐敗は、実は昔の王朝時代の中国にもあったことであり、歴史が繰り返されています。一方で、現在はITの発展にともない広い国土でも瞬時に情報が行き渡る時代になりました。国をまとめたい政府にとって管理や統制がしやすくなったといわれています。この点、中国人は実用主義者なので、画一的に管理されるリスクは認識しつつも「便利ならいいか」と割り切っている面もあります。ここ数年、中国でもだんだんと若者が減って社会構造が変わってきており、歴史家にとっては、激変に目が離せない面白い時代を迎えています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
京都府立大学 文学部 歴史学科 教授 岡本 隆司 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
史学、地理学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?