中国製品は量より質の時代に? 中国経済の変化を探る
ものづくりは「量から質」の時代へ
「世界の工場」と称される中国でのものづくりは、安価な製品を多く生産し輸出する時代が終わり、質の高い製品を多く製造し国内外に販売する時代に入りました。中国メーカーの家電やスマートフォンなどの電子デバイスといった高付加価値製品が世界で販売されています。しかし経済成長の持続には輸出拡大よりも、国内消費の拡大が必要です。約6億人ともいわれる中間層に、国内で高付加価値で魅力的なサービスや商品を消費してもらうことで、さらなる経済成長をめざしているのです。
世界経済を支える中国のサプライチェーン
1990年代以降、中国に進出した外資の製造業との合弁形態での会社設立やモノの取引を行うことで中国企業は発展してきました。このことで、沿海部では外資と中国企業で分厚いサプライチェーン(部品・材料の調達、製造、配送、販売など一連の流れ)を形成しました。スマートフォンなど電子デバイス製品、衣服やスポーツシューズなどの部品の調達率、速度、調整力は、他国と比較して中国が優位にあります。流行の変化が激しいファッション業界では、変更されたデザインをすぐに形にできる部材の調整力と速度といった要求に応えられるかが競争力になります。中国には同業のライバルが数多く存在するため、すぐにその要望に応える企業がでてきます。それが中国のサプライチェーンであるし、強みであるといえます。しかし、米中通商摩擦が激化し、今後こうしたサプライチェーンに変化が起こるかもしれません。
中国経済の課題と対応策
そこで、中国政府は2021年3月に「双循環」という新しい発展戦略を打ち出しました。内需拡大を主軸に、開放された国内と海外との二重の循環により、国内の市場の魅力を高め、他国の投資や貿易などを引き寄せ、さらに発展することが狙いです。中国は海外との循環も強化するけど国内の循環をもっと強化するという方針です。すでに少子高齢化時代に入っている中国が、人口規模を強みにした経済、量から質の転換をどのように進めるか注目です。
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大東文化大学 外国語学部 中国語学科 准教授 森 路未央 先生
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