現代中国を読み解くカギは、明清時代の歴史にあり
明、清時代
目覚ましい経済発展を背景に、中国はアメリカに次ぐ大国になりつつあります。日本との関係も深い中国の現在を知るためには、歴史(中国史)を知ることが重要です。中でも14世紀から20世紀にかけて、明王朝と清王朝の時代に生まれた思想や文化は、現代中国に色濃く残されています。
私たちが抱いている「伝統的な中国」のイメージも、この時代に作られたものが関係していることが多々あります。例えば「チャイナ服」は、清王朝の支配民族であった満州族の伝統衣装と漢民族の伝統衣装が融合し、ヨーロッパからきた「洋服」のデザインがミックスされ、タイトなシルエットになったものです。
中国社会を一変させた科挙制度
明代と清代の中国に共通する特徴として、社会的な流動性が高かった点があげられます。それ以前の中国社会では、家柄によって人の身分や地位が定められていました。明よりも前の宋の時代にほぼ完成された科挙(役人登用試験)によって、基本的に身分に関係なく、試験の成績によって国の役人になれるかどうかが決まるようになります。
これによって、個人の能力次第で富を得られるような社会が出現しました。また、自分の子どもや親族を科挙に合格させるために、教育に力が入れられるようになったのも、この時代の特徴です。
中国を通して世界の広さを知った日本
日本との関係においても、中国の存在は非常に大きいと言えます。中国はながらく日本にとっては世界で最も進歩した国であり、遣隋使・遣唐使を送るなど文字や文化、思想や宗教などさまざまな面で影響を受け続けてきました。しかし、清の末期に中国の沿海部を中心とした地域は西洋諸国の植民地下に置かれてしまいます。江戸末期に清の国に渡ってこの様子を見た高杉晋作がショックと危機感を感じ、帰国後に奇兵隊を結成して討幕運動を起こし、明治維新のさきがけとなりました。いわゆる「鎖国」の時期を終えて、世界に目を向けつつあった日本は、当時の中国を通して西洋諸国の力を思い知らされたと言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 国際教養学部 英語・国際文化学科 准教授 辻 高広 先生
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