身近なネットワークを賢くせよ! ~もっと便利なインターネットへ~

身近なネットワークを賢くせよ! ~もっと便利なインターネットへ~

さまざまな情報を横断的につなげる

多くの人がインターネットで検索して有用な情報を取得しています。この仕組みはシンプルで、パソコンやスマートフォンなどの端末がインターネットを通じてサーバとつながり、情報のやり取りを行っているだけです。最近は、サーバにAI(人工知能)を組み込むことで情報の精度を上げることも行われています。この仕組みでは、サービスを提供するサーバと端末が1対1でつながっていて、サーバ上の情報同士は横断的にはつながっていません。そのため、いろいろな関連する情報を一度に取得したいときは不便です。

身近なネットワークに知性を持たせる

今いる場所に関係するさまざまな情報を知りたいユーザを例に考えてみましょう。まず、ユーザが利用する端末はGPSなどを用いてユーザの位置情報を把握する必要があります。その上で、その場所に関連する情報を保有するさまざまなサーバから一つ一つ情報を収集していく必要があり不便です。そこで考えられるのが、ユーザにより身近なネットワークに必要な機能を持たせるというアイデアです。現在のネットワークは単に情報をサーバに転送しているだけで、情報の内容には関知しません。そこでこのネットワークにAIで知性を持たせ、サーバに転送される情報を分析し、その位置に存在するユーザにとって適切なサービスを作成し、ユーザに自動で通知させることで、ユーザは検索の必要がなく、知りたい情報を取得できます。

実空間情報も有効に活用する

現在サーバ上に存在する情報は人が作成したものが中心ですが、今後はモノがインターネットに接続されるIoTにより実際の空間/環境に関する情報が収集されます。そこで、ネットワークが知性を持つことで、この実空間情報を有効に活用できるのです。例えば、「今日の2時から1時間会議をしたいけど、静かで快適な駅近の場所はどこ?」と尋ねれば、騒音/湿度/温度センサ、GPS情報などをもとにユーザにとって最適な場所を提供できるようになり、便利なインターネットサービスが実現できます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 情報工学部 情報・通信工学科 教授 塚本 和也 先生

九州工業大学 情報工学部 情報・通信工学科 教授 塚本 和也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

情報・通信工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

近年、多くのモノがインターネットにつながるようになり、たくさんの情報を得られるようになってきました。その情報に対してAI(人工知能)を使い分析することで、今まで気づかなかったような新しい事実や物事の関係性もわかってきました。しかし、現在のネットワークはまだ未成熟で、例えばネットワーク自体に知性を持たせることができれば、今まで以上に魅力的であなたにとって役立つ情報を適切に提供できるようになります。
私は、このような未来のネットワークを研究しています。あなたもぜひ、一緒に研究しましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

九州工業大学に関心を持ったあなたは

「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えました。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。