ユーザーの求める通信品質を提供するネットワークとは
情報の「遅延」に対する保証の必要性
インターネットの普及により、ファイル転送などのデータの転送だけでなく、インターネット電話やテレビ会議、動画配信など、音声と動画をリアルタイムでやり取りするマルチメディア通信が盛んに行われるようになりました。それにともない、ユーザーの求める通信品質にも変化が起こっています。これまで通りデータを損なうことなく正確に相手に送り届けることに加えて、音声や動画が途切れる「遅延」に対する保証も必要となってきているのです。
通信経路の観測と計測によるデータ転送の制御
さまざまな容量と性質のデータがネットワーク上を大量に流れることにより、情報の“渋滞”が起こります。そこでネットワークとネットワークをつなぐ「ルータ」という中継器を効率よく使用して、デジタル情報を円滑に受信先の端末に届けるといった、高品質な通信網の実現が課題となるのです。現在、デジタル情報が流れる通信経路の観測、計測から、それぞれのデータを性質に合わせてデータの流れをコントロールし、システマティック(体系的)にネットワーク上に情報を伝達させる研究が進められています。そうやってデータを制御することが、ユーザー個々の要求を可能な限り満たす、通信品質の向上につながるのです。
環境に優しいネットワークの構築をめざして
さらに、ネットワークが社会インフラとして整備されている日本においては、環境を意識した省電力化「グリーンICT(情報通信技術を利用した環境保護)」も現在の課題です。省電力化と通信品質の向上は一見、相反するように見えます。しかし現状は、時間帯により使用されていない装置や回線が多くあります。これらの設備を使用しないときには電力の供給をストップさせることで、環境にも優しい、高品質のネットワークを構築することが可能なのです。現在、環境問題にも寄与できるネットワークの実現に向け、研究が進められています。
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先生情報 / 大学情報
九州工業大学 情報工学部 情報・通信工学科 准教授 川原 憲治 先生
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