人と同じ2つの眼をもつ生活支援ロボット
視覚障害者の目となる
さまざまな業界で多様な目的のロボット開発が行われる中、視覚障害者の外出などを支援するロボットも研究されています。屋外では、状況の変化が多く、ロボットがスムーズに移動するのが難しいことが課題となっています。視覚障害者を誘導するには、路上の障害物を感知したり、ほかの歩行者や車両などの接近に注意したりしなければなりません。屋外は動的に変化する環境であり、時間や季節の経過によっても見え方が変わります。ロボットに単体のカメラを備えただけでは、そうした変化に対応できない恐れがあります。
2つの目でものを見る利点
人間をはじめとする多くの動物は、2つの目で視覚情報を得ています。1つよりも2つの目で見たほうが、対象との距離感など、得られる情報量が格段に多いのです。そのため、支援ロボットにも目となる2つのカメラ(ステレオカメラ)を装備し、周囲の状況を立体的にとらえるという試みがなされています。
カメラが1つの場合、同じ風景を見ても、昼間と夕方とではまったく別の風景に見えてしまうことがあります。ステレオカメラで立体的に把握することで、同じ風景であることがきちんと認識できるのです。また、移動する物体の動きを正しく把握するのは意外と難しいものですが、ステレオカメラを使えば、距離の変化を正確にとらえ、自動車の接近などを予測し、適切な回避行動が可能となります。
人間とロボットが「支え合う」関係
障害者を支援するロボットを開発する際には、当事者が何を求めているのかが優先されます。視覚障害者の外出支援の場合、開発者は目的地まで「誘導」することを優先しますが、当事者はもっと主体的に行動したいと考えることがあります。ロボットが完璧に人間をリードする必要はなく、ロボットが移動しづらい場所では、障害者がロボットを押したりすることも想定するわけです。障害者とロボットが足りない部分を「支え合う」関係というのも、支援の1つのあり方ではないかと考えられています。
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山梨大学 工学部 メカトロニクス工学科 准教授 丹沢 勉 先生
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