すべての客観的な根拠は、「統計学」に通じる
客観的な裏付けで、物事を判断する
もし、日本の政策や学問の理論が、勘や経験から作られているとしたら、あなたはどう感じますか? おそらく、信頼性や説得力が乏しいと、不安や疑問に思うのではないでしょうか。一方、それが客観的な数値のデータを裏付けとし、そこから導き出された判断や結論であれば、より納得しやすいでしょう。
その裏付けとなる客観的な根拠を得るために、調査したり、収集したデータを解析したり、解析の方法を考えるのが「統計学」です。統計学は、偏差値、失業率、貧困率といった物事の差異や動向などを大量のデータから客観的に把握し、決定や判断を下すための土台となる学問で、さまざまな分野で活用されています。
限られたサンプルから、全体を把握する
では、日本全体の傾向を知るためにデータを集めようとしたとき、どんな方法が思い浮かびますか? 国民全員を調査するとなると、膨大なコストと時間が必要です。限られたサンプルから、全体の傾向を読み取るためには「統計学」の知識が必要です。例えば、テレビの視聴率は、ランダムに選ばれた家庭に計測機器を設置し、その結果が反映されています。無作為にサンプルをピックアップすると、全体と同じ人口構成となり、全体の状況に近い数字が得られるのです。また、理数系の学問はもちろん、心理学、社会学、経済学といった分野でも、限られた実験データをもとに仮説や結論を立証していくには、統計学の知識が不可欠と言えます。
膨大なデータから、新たな発見が生まれる
あなたも、インターネットなどでアンケートに答えたことがあるのではないでしょうか。情報化が進む中、膨大な数値データが入手しやすくなり、それを処理するコンピュータの能力も向上しています。
また、ある研究者は、歴史上の人物の演説のテキストデータから、言葉の共通点や変化などを解析しました。統計学は現在だけでなく、過去も数値的にとらえ直し、新たな発見を生み出す学問としても注目されているのです。
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先生情報 / 大学情報
阪南大学 経済学部 経済学科 教授 村上 雅俊 先生
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