講義No.10345 教育

同じ間違いをくり返さないための教育 算数や数学をどう教えるか

同じ間違いをくり返さないための教育 算数や数学をどう教えるか

傾向別の振り返りが大切

平成31年度の小学校の学力調査で、「6+0.5×2」という正答率約60%の問題がありました。足し算から計算してしまう計算順の間違いが多かったものの、分析をすると間違い方にもいくつかパターンがあることがわかりました。間違いの傾向別に授業で振り返りをすれば、同じ誤答を防ぐための対策につながります。
例えば「0.5×2」を「5×2」のように計算してしまった子がいた場合、必要なのは計算順の指導ではなく、小数を含むかけ算の問題についての指導です。教師は生徒ひとりひとりの傾向を把握し、限られた授業時間の中で効果的な振り返りをすることが求められます。

速さの公式と感覚のズレ

算数や数学はただ公式を教え込むのではなく、身の回りの現象や体験と結びつけることも大切です。例えば速さの計算方法は、教科書に載っている「距離÷時間=速さ」という公式を教えます。しかし、身の回りで「速さ」というと、時速や分速ではなく、100メートル走で誰が一番先にゴールするかなど、目に見える速さのことをイメージするでしょう。このとき脳内では、100メートル走のタイムを距離で割ったものを速さとして認識しています。このように、日常における速さと算数における速さでは分母と分子が逆転してしまうので、感覚のズレが生じがちです。教師がこの前提をわかっていると、子どもたちにわかりやすい教え方を模索でき、算数をより身近に感じてもらえます。

なぜ難しい問題を解くのか

高校入試の数学を分析すると、まれに正答率1%の問題があります。極端に正答率の低い問題は本当に必要なのでしょうか。難しい問題には、数学的な思考力がどの程度身についているのか見極める目的があります。そのため授業でも難問を扱い、正解にたどり着くまでの手段や、筋道を自ら考え選択する力を養う機会をつくることが大切なのです。算数や数学には必ず正解があるため、「学び方そのものを学ぶ」ためにも適した教科だといえます。

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共栄大学 教育学部 教育学科 教授 島内 啓介 先生

共栄大学 教育学部 教育学科 教授 島内 啓介 先生

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メッセージ

あなたには日本と世界の歴史を知ってほしいです。海外の学生は日本文化について勉強してから来日するため、学びの目的意識を持っている人が多いです。しかし日本人は老若男女を問わず、有名な観光地などをめぐるだけで終わってしまうことがあります。相手の文化的背景や歴史的背景を知らなければ、国際交流もうまくいきません。
私自身、もっと勉強しておけばよかったと感じています。ぜひ高校生のうちに学んでおきましょう。また、一生付き合える仲間に出会えるのも高校時代のよさなので、友人との時間や体験も大事にしましょう。

先生への質問

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【学べる場所は教室だけじゃない】 一人ひとりに目が行き届いた中で、座学だけではなく授業で学んだ知識を実際のビジネス・観光・スポーツや教育の「現場」で実践していく。それが共栄大学の「学びのスタイル」です。1年次より、将来のビジョンを担当教員とじっくり話す時間を設け、さまざまなプログラムを通じて自ら道を切り拓き、社会で活躍できる人材を育てます