新しく自由に創造できる、未来のエンジニアを育てる技術教育
日本は3年、海外は12年
子どもへの技術(テクノロジー)教育は、世界中で行われています。日本の技術科の授業は中学校の3年間のみですが、アメリカやイギリス、カナダなどは小学1年生か幼稚園児から高校3年生まで、一貫した技術教育を展開しています。例えばイギリスでは、ものづくりのプロセスを段階的に学び、創造力を育てるための学習活動を重視しています。材料と加工、エネルギー変換、情報といった技術の基礎を学びつつ、社会の課題を発見し、その課題の原因となっているものは何かを調査して、どんなものをつくるか計画を立て、3Dプリンタなどを駆使して実際にものをつくっています。
課題を解決できるエンジニアを育てる
こうした技術教育では、実際に活躍できるエンジニアを育てようとしています。エンジニアとは、社会や身近な生活にある問題を発見し、技術による具体的な解決法を検討する力があり、実践できる人のことです。養われた創造性は、新しい製品や技術、イノベーションを生む力になります。こうした優れた技術教育を日本でも授業に取り入れることが、世界で活躍できる日本人を育てることにつながります。とはいえ中学3年間しかないため、効果的に導入するには工夫が必要です。教員の負担にならず、子どもが実践できる内容であることが不可欠です。
これからの社会に必要な人材育成へ
それらを検証したうえで、家電メーカーと協同したものづくりプログラムの授業が展開されはじめています。授業では、発想やアイデアを自分たちで精査し、課題解決に向けたものづくりを通じて、エンジニアに必要な力を身につけます。技術の授業は、数学や理科などあらゆる教科が関連します。科学・技術・エンジニアリング・芸術・数学を組み合わせた「STEAM教育」を通じて、問題解決能力を育てようとしているのです。これからは、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などを駆使して社会の問題解決に取り組む時代になります。今、そうした社会で活躍するための教育が求められています。
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先生情報 / 大学情報
愛知教育大学 教育学部 創造科学系 技術教育講座 准教授 磯部 征尊 先生
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