海外で日本庭園が人気なのはなぜだろう?

海外で日本庭園が人気なのはなぜだろう?

なぜ海外に日本庭園が造られているのか?

現在海外には、約70カ国に500以上の日本庭園があります。日本庭園が海外で知られるようになったきっかけは、1873年のウィーン万博からです。日本庭園を見たことのない西洋人は驚きました。それまで鎖国をしていた日本の文化を知ってもらうためにも役立ちました。ヨーロッパでは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてジャポニズムと呼ばれる日本ブームがありました。このブームで日本庭園もつくられました。戦後は国際交流の場としてさまざまな国と地域に日本庭園が造られています。

独自の文化から成り立つ日本庭園は心を癒す空間

寺社にある日本庭園は宗教の影響を強く受けました。飢饉や戦いで人々の心が荒々しくなっていた時に、心を落ち着かせる場、修行の場であった寺社に日本庭園がつくられました。茶庭(露地)も、茶室に行くまでのアプローチとして心を落ち着ける空間です。また、江戸時代に造られた大名庭園は、日本の美しい風景を模したり、珍しい石を配したり、おとぎ話や和歌などをベースに空間を構成するなど、さまざまな工夫を凝らした庭園も造られました。日本は山や川、海、自然に囲まれて自然と共生すること、大きな樹木や巨石に神が宿るという自然を崇拝する文化があります。このような文化と歴史から、さまざまな日本庭園が心安らぐ空間として生まれてきました。欧米人も次第にそのような気持ちを理解するようになりました。日本文化を理解し受け入れるようになったのです。

より多くの人に利用してもらうための新しい取組み

海外の日本庭園は園路がバリアフリーであったり、レストランやカフェを併設していたり、デザインや利用方法にも違いがあります。多くの人に訪れてもらうため、庭園内でロックコンサートを開くこともあるのです。日本には、素晴らしい日本庭園がある一方で、利用されず廃れかけたものもあります。多くの人に日本庭園を楽しんでもらうために、今度は日本が海外の知恵を学ぶべきなのかもしれません。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 講師 牧田 直子 先生

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 講師 牧田 直子 先生

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環境学、園芸学、造園学、自然環境学

先生が目指すSDGs

メッセージ

南九州大学の授業は、座学と実学を兼ね備えています。キャンパス隣接の農場では、園芸、造園、自然環境の実験・実習を行っています。私は造園学分野で花やガーデニングを担当しています。植物のある暮らしは癒やしを与えてくれます。
人の暮らしのなかに植物をどう取り入れていくのか、どのような空間を作っていくのかを植生やデザインなどを通して考えていきます。小さな庭から大きな街づくりまで、考える対象は広範囲です。興味があるなら、本学で社会に役立つ植物との暮らしを幅広く学んでください。

先生への質問

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また、卒業する学生全員が、笑顔で社会人生活へと踏み出せるよう、入学直後から学生一人一人に対応した丁寧で確実な就職サポートをしていきます。
さらに、各学部・学科の専門分野に不可欠な資格から、一生自分を支えてくれる国家資格まで、多岐にわたる資格取得のサポートを行っています。