子どもたちに、運動の楽しさを教える指導法の研究
低年齢のうちに運動の楽しさを教えることが重要
体育の授業は好きですか? 体育授業が嫌いな人の多くは、幼児期から低学年期に、運動に対する苦手意識を持ったことがその原因のひとつです。ですから、この時期の子どもには、体育授業はもちろん遊びの中でも運動の楽しさをたくさん味わわせながら、運動への苦手意識を持たせないようにします。逆に、「自分はできる」との自信である運動有能感を持たせ、それを高めます。
この運動有能感を高めることは、子どもの人格形成にもよい影響を与えるため、極めて重要なことです。
「もっと遊びたい」の気持ちを持続させる指導
運動が苦手な子どもに、いきなり高い目標を与えても逆効果です。まず、簡単な運動課題を提案し「できた」の成功体験から指導をスタートします。そして、徐々に課題を上げながら、成功体験を積み重ねます。そうすることで、子どもは「もっと遊びたい」という気持ちを高めて運動に取り組みます。
例えば、「じゃんけんをして負けた方が勝った方の回りを走って1周する」などの遊びから始めます。慣れてきたら、グーはかがむ、パーは立ち上がってバンサイといった「全身じゃんけん」に切り替えます。次はグループ戦に変更して……と、子どもたちの動きを見極めながら、遊びの発展のさせ方を臨機応変に工夫していくのです。
積極性や自信も育てる「体育科教育学」
近年は、塾や習い事で自由時間が減り、子どもが自由に遊べる公園などの空間が減少し、さらにゲーム機の普及などで体を使ってみんなで遊ぶという機会も減っています。そのため、スキップやなわ跳びなど、かつては遊びを通じて覚えていた体の動かし方ができない、また仲間との関わりの中で育んできた積極性や自己肯定感が低い、といった子どもが増えています。
子どもたちを取り巻く環境が変化する中で、運動技能の向上はもちろん、積極性や自己肯定感の育成を図る視点に立った幼児・小学校体育の授業づくりは、体育科教育学の重要な目標のひとつです。
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先生情報 / 大学情報
南九州大学 人間発達学部 子ども教育学科 教授 宮内 孝 先生
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