熱帯産のアボカドを日本で栽培するためには?

熱帯産のアボカドを日本で栽培するためには?

日本で栽培可能なアボカドがある

アボカドは、多くの油分を含む熱帯の果物で、ビタミンA、C、Eを多量に含み栄養豊富です。美容にもよいということで、女性に人気です。日本で販売されるアボカドは「ハス」という品種で、ほとんどがメキシコ産です。この品種を寒い時期がある日本では、本来の熟期まで枝に成らせておくことはできませんが、「ベーコン」「フェルテ」という品種は、冬になるまでに収穫可能です。そこで、和歌山県や愛媛県では以前からこれらのアボカド栽培を行ってきました。最近では、栽培地域が増えてきています。

栽培初期は収穫が期待できない

ただ、アボカドの栽培は難しく、1万個の花に1つしか実がならないと言われています。花は4~5月に咲きますが、日本ではその時期に気温が下がることもあるので、うまく実がなりません。成木になるとある程度寒さに強くなりますが、幼木は特に寒さに敏感です。また、雨が降ると受粉の確率が落ちてしまいます。
さらに、アボカドの花は両性花ですが、雄花と雌花で咲く時間帯が異なります。一つの花が午前と午後で雌花になったり、雄花になったりします。そのため同じ種だけでは受粉が難しく、近くに同じ時期に異なる雌雄の花が咲く種を植える必要があります。しかし、雌雄のどちらが先に咲くかはわからない種の場合は、植えはじめの時期は実がなかなかなりません。成木になって、それぞれの樹木の性質がわかるようになれば、結実は安定しますが、それまではほとんど収穫できないため、農家泣かせと言えます。

温暖化で熱帯果樹栽培が可能に

温暖化によって、日本でも熱帯果樹の栽培が可能になってきました。それでも熱帯ではないので、栽培技術を新たに確立しなければなりません。成長を促すための肥料の管理も必要です。低温期に加温するならば燃料も必要になりますから、売上とコストの兼ね合いも重要な課題です。トロピカルフルーツはほとんど外国産ですが、国産が増えれば、園芸農家にとって収入源が増えることが期待できます。

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南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授 前田 隆昭 先生

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果樹園芸学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、パパイヤやバナナ、アボカドなど熱帯果樹を中心とした栽培技術を研究しています。温暖化によって、日本でも熱帯果樹の栽培が可能になってきました。熱帯には未知の果樹がまだまだあり、それを日本で栽培できないかと考えています。そのためには、栽培技術の構築が不可欠です。日本で生育させる方法を探して、日々試行錯誤を繰り返しています。
大学内には農場があり、植物を育てたいという学生にとっては恵まれた環境です。日本での新しい果樹の栽培に挑戦したいなら、ぜひ一緒に研究しましょう。

先生への質問

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