講義No.10527 医療技術

健康を取り戻すために欠かせない「理学療法」の役割とは?

健康を取り戻すために欠かせない「理学療法」の役割とは?

運動機能を回復させる治療法

重い荷物を持ち上げようとして腰を痛めてしまった人や、膝(ひざ)が痛くて曲げられないと悩んでいるお年寄りなど、人間は日々の生活の中で、ケガや病気、障がい、加齢にともなう衰えなどによって、運動機能が低下してしまう場合があります。そうした運動機能の低下を食い止めて回復させるために、マッサージをはじめとする各種の施術やトレーニング指導を行う治療法は、「理学療法」と呼ばれています。最近、理学療法は治療目的だけでなく、運動機能の低下を予防する目的や、スポーツのパフォーマンス向上をめざす目的でも活用されています。

小学生にも必要な理学療法

理学療法というと、もっぱら大人向けの治療法で、育ち盛りの子どもには無縁なのでは、と思うかもしれません。しかし、実は小学生にも理学療法を必要とする症例は数多くあります。例えば、小学校高学年くらいでサッカーをしている子どもには、「腰椎(ようつい)分離症」が多く見られます。体幹の筋肉が十分に発達していない体で、キックの際などに無理なひねり動作をくりかえしていると、腰を痛めてしまうのです。その場合は治療とともに、バランスのよい体づくりと正しい動きを身につけるためのトレーニング指導が必要です。また、特に日頃スポーツをしていない子どもの中には、足を曲げてしゃがみ込む動作ができない子もいます。その場合、無理なくしゃがめるように足首を柔軟にしたり、足や体全体のバランスを整えたりするための指導が必要になります。

世界各国で研究が活発に

近年の理学療法では、トレーニング手法とその効果を、MRI(磁気共鳴画像)を用いて比較分析する取り組みなど、世界各国で活発な研究が続けられています。健康に対する意識が高まっている昨今、子どもからお年寄りまで、健康を取り戻すために欠かせないサポート役として、理学療法の役割はますます重要になっているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京都立大学 健康福祉学部 理学療法学科 准教授 来間 弘展 先生

東京都立大学 健康福祉学部 理学療法学科 准教授 来間 弘展 先生

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健康福祉学、理学療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

理学療法士は、人の健康を取り戻して人生を豊かにし、価値を高めていくためのお手伝いをするという、とてもやりがいのある仕事です。理学療法は日本だけでなく世界各国で注目されていて、特にアジア諸国で大きく広がりつつあります。
私も理学療法の国際会議によく出席しますが、理学療法を通じて、こんなに世界中の人々とつながることになるとは思っていませんでした。学んでみると、きっと楽しいと思います。あなたも興味があるなら、ぜひ私たちと一緒に研究しましょう。

先生への質問

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東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。