健康を取り戻すために欠かせない「理学療法」の役割とは?
運動機能を回復させる治療法
重い荷物を持ち上げようとして腰を痛めてしまった人や、膝(ひざ)が痛くて曲げられないと悩んでいるお年寄りなど、人間は日々の生活の中で、ケガや病気、障がい、加齢にともなう衰えなどによって、運動機能が低下してしまう場合があります。そうした運動機能の低下を食い止めて回復させるために、マッサージをはじめとする各種の施術やトレーニング指導を行う治療法は、「理学療法」と呼ばれています。最近、理学療法は治療目的だけでなく、運動機能の低下を予防する目的や、スポーツのパフォーマンス向上をめざす目的でも活用されています。
小学生にも必要な理学療法
理学療法というと、もっぱら大人向けの治療法で、育ち盛りの子どもには無縁なのでは、と思うかもしれません。しかし、実は小学生にも理学療法を必要とする症例は数多くあります。例えば、小学校高学年くらいでサッカーをしている子どもには、「腰椎(ようつい)分離症」が多く見られます。体幹の筋肉が十分に発達していない体で、キックの際などに無理なひねり動作をくりかえしていると、腰を痛めてしまうのです。その場合は治療とともに、バランスのよい体づくりと正しい動きを身につけるためのトレーニング指導が必要です。また、特に日頃スポーツをしていない子どもの中には、足を曲げてしゃがみ込む動作ができない子もいます。その場合、無理なくしゃがめるように足首を柔軟にしたり、足や体全体のバランスを整えたりするための指導が必要になります。
世界各国で研究が活発に
近年の理学療法では、トレーニング手法とその効果を、MRI(磁気共鳴画像)を用いて比較分析する取り組みなど、世界各国で活発な研究が続けられています。健康に対する意識が高まっている昨今、子どもからお年寄りまで、健康を取り戻すために欠かせないサポート役として、理学療法の役割はますます重要になっているのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 理学療法学科 准教授 来間 弘展 先生
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