体の痛みはなぜ起こる? 人の動作を見て痛みの原因を探る
スポーツをする中高生に多く見られる腰の痛み
スポーツに打ち込んでいて、上体を後ろに反らすと腰に痛みを感じるなら、腰椎(ようつい)分離症かもしれません。激しいスポーツや腰をひねる動きなどの負担によって、腰椎の後方部分が疲労骨折し分離してしまう症状です。十代の成長期に多く見られ、発症すると腰痛や足のしびれなどが起こります。
体が痛むのは、どこかに負担がかかっているからです。どういう動きをするときに痛むのか、どの筋肉が弱くなって、どの筋肉が硬くなってそうなるのかを、人の動作を見て、その箇所を見つけて治療するのが理学療法の世界です。
関節や筋肉の動きを精査
負担のかかる動作を見つけたら、次に関節の動きや筋肉の動きを個別に検査し、痛みの原因になっている部位に的確にアプローチしていくことが重要です。この検査には、「三次元動作解析装置」が使われます。これはスポーツ選手のフォーム矯正などにも活用されるもので、あらゆる角度から人の動きを三次元的に見ることができる優れた装置です。しかし、高価なため、どこにでもあるわけではありません。
こうした装置がない状況では、やはり基本は理学療法士が目でよく見ることが一番です。患者さんの動作を見て、ここの動きが悪いから、この筋肉が硬くなっているのだろうと予測し、実際に動かしてみて、やはりそうだったと確認する、それが治療の王道です。
体に負担がかからないような姿勢
近年では、体に負担がかからないよう、姿勢を整えてけがを予防することに重きが置かれるようになりました。姿勢を整える方法の一つが体操です。例えば大牟田(おおむた)市では、姿勢を整えて体を柔らかくし、けがを防ぐ介護予防体操「よかば~い体操」が考案され、市内30カ所で高齢者を対象とした指導が行われています。若い人たちも同様で、スポーツの前後にしっかりストレッチをする、体に負担がかからない姿勢を心がけることで、けがや痛みを防ぐことができるのです。
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帝京大学 福岡医療技術学部 理学療法学科 教授 関 誠 先生
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