けがの予防に、見えない筋肉の動きを数式で推定!

けがの予防に、見えない筋肉の動きを数式で推定!

なぜスポーツ選手はけがをするの?

運動競技をする人なら、膝や足を痛めることがよくあります。例えばランニングの場合、足をついた時に地面から受ける衝撃や筋肉の活動によって関節に大きな負担がかかります。誤った走り方を続けることで、関節へ繰り返し負荷が加わり、関節を痛め、最終的には競技ができなくなります。傷める前に動作を確認して、けがをしないような動作パフォーマンスを行うことが大切です。

骨格・筋肉・靱帯の動きを推定するモデル

そこで役立つのが「動作分析」の研究です。これまでの動作分析は、体の各所にマーカーを付けて、骨格の動きを中心に体の動きを分析するものが主でした。しかし実際の動作では、数多くの筋肉や靱帯が複雑に働いて、体の動きが完成します。そこで、肉眼ではとらえられない骨格や筋肉などの動きを、特殊なアルゴリズムを使用してシミュレーションする研究が生まれました。それが「筋骨格モデル」です。これまで解剖しなければわからなかった筋肉の動きや関節の負荷を数式で導き出し、その動作を続けていくと関節や筋肉にどのような影響があるのかを予測できるようになったのです。

筋骨格モデルはどうやって役に立つの?

実は、人体には誰にでも共通する「正しい動作」というものはほぼありません。人によって骨格や筋肉の量が異なり、同じ動作でもその状況に合わせて適切に変える必要があります。それぞれの人が状況に合わせてさまざまな動作を行うため、各動作を評価することは非常に難しくなります。しかし筋骨格モデルを使えば、各動作が各個人の体に与える負荷を推定して、さらに負荷のかからない「その人にとっての正しい動作」を提案することが可能です。この技術を活用することで、スポーツに励む若い人なら靱帯損傷、高齢者なら加齢で膝の関節がすり減る変性膝関節症など、さまざまなけがや病気を予防することが将来的に期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西医科大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 助教 山縣 桃子 先生

関西医科大学リハビリテーション学部 理学療法学科 助教山縣 桃子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

医療技術評価学、リハビリテーション科学

メッセージ

筋肉を鍛えているスポーツ選手でもけがを場合がありますが、これは動作の中で筋肉をうまく使えずに、筋肉や靱帯(じんたい)に負荷がかかっていることが一因です。皆さんがけがなく最良のパフォーマンスができるように、私は理学療法学として、数式を使って動作中の筋肉や靱帯の動きを推定する研究をしています。体の動きに興味がある人はぜひ参考にしてみてください。また、何に興味があるかわからない人も、まずはいろいろな分野を知ることから始めてみてください。きっとあなたの興味のあるテーマが見つかると思います。

関西医科大学に関心を持ったあなたは

関西医科大学は大阪府枚方市に位置し、医学部・看護学部・リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科)を有する医療系複合大学です。急性期医療から在宅医療まで揃う附属医療機関を擁する強みを活かし、医療現場の実情に即したチーム医療を学修。3学部合同授業を通して各職種の役割を尊重・理解することで幅広い視野をもつ学生を育成します。
学内には最新の医療現場に対応した演習設備や機器も充実。臨床現場の実践に近い環境下で繰り返し演習することで、確かな技術はもちろん、状況に応じた判断力・対応力を養います。