超高齢社会において、理学療法士は何ができるか
超高齢社会と理学療法士
病気や障がいによって身体の動きが悪くなった人に対して、リハビリテーションを行うのが、理学療法士の役割です。しかし、理学療法が対象とするのは、病気やけがの人ばかりではありません。高齢期を迎えて身体が思うように動かなくなってしまった高齢者のリハビリテーションも、理学療法士の仕事のひとつです。さらに、リハビリの技術を予防に応用して高齢期を迎えても元気に暮らし続けることを支援することも期待されています。超高齢社会において、理学療法士の役割はますます増していくと考えられています。
高齢者を理解する
高齢者と若者では、同じような病気や障がいであっても症状に大きく違う点があります。高齢者には、使わない筋肉や器官の機能が衰えていく「廃用症候群」が起こりやすいのです。例えば足のけがをきっかけに外出の回数が減ると、歩かないためにますます歩けなくなるといったことが起こります。それに加えて高齢者には、「老年症候群」と呼ばれる加齢にともなって引き起こされる症状もみられます。理学療法士が担当する患者のなかには疲れやすかったり、栄養が不十分だったりする人もいます。高齢者の健康状態は複雑ですから、理学療法士は病気や障がいだけでなく、廃用症候群や老年症候群も含めて幅広く勉強する必要があります。
心身に関わる
高齢者のリハビリにおいては、心理面を無視して身体面だけで語ることはできません。心と身体は互いに影響し合っています。例えば、足腰がそれほど悪くなくても、歩くことに自信が持てずに買い物に出かけることができない、という高齢者がいます。理学療法士には、筋力トレーニングなど足腰を強くするリハビリを行うと同時に、外出に対する自信を深めたり、買い物に出かけようとする意欲を引き出したりするコミュニケーション力が求められます。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 理学療法学科 教授 浅川 康吉 先生
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