水や空気の殺菌作用に期待 次世代の光源「深紫外線LED」
次世代LED開発のカギは?
LEDは、家庭用の照明やテレビ、モニターなど、多くの電気製品で使われています。現在、さらに高性能な次世代LEDである「深紫外線LED」の開発が模索されており、その強い殺菌作用を利用した家庭用電気製品への普及や、医療、電気自動車への応用などが期待されています。
LEDとは電気を流すと発光する半導体を指します。半導体は、電気を良く通す導体とほとんど通さない絶縁体の中間の性質を持つものですが、深紫外線LEDの材料となるアルミナイトライドは、ほぼ絶縁体です。つまり、電気を流さないはずの絶縁体にいかに電気を流すかに挑むのです。
高温で、きれいな結晶を作れ!
半導体は、まずきれいな結晶を作るところからはじまります。きれいな結晶ができた上で0.01%程度の不純物を混ぜると電気を通しやすい性質を持ちます。混ぜる不純物の量が0.01%程度なので、結晶内の意図しない不純物が少しでも混ざっていると、半導体としての電気特性を制御することが難しくなります。つまり、不純物が混入しない純粋できれいな結晶を作ることが、最初にこだわるべきキーテクノロジーなのです。アルミナイトライドは、結晶の成長温度が2000℃以上と非常に高く、高温にするほどきれいな結晶ができます。しかし通常の半導体を作る装置はガラスの主成分である石英が装置の主要部品として使われており、1,200℃付近で石英部材が劣化してしまうため、それ以上温度を上げられません。
深紫外線LED実現への道のり
そこで探求の結果、ジェット機エンジンが結晶を作る装置に必要な要素と超高温に適した機構を持っていることがわかりました。ジェットエンジンのガスの流れを再現する結晶作製装置をつくることで、これまで実現できていなかった超高温を達成し世界でもっとも不純物の少ないアルミナイトライド結晶の生成が成功しました。世の中で広く使えるような深紫外線LEDの実現のためには、より電気を効率よく流すアルミナイトライドを生成する方法を見つけ出す必要があるのです。
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徳島大学 理工学部 理工学科 電気電子システムコース 准教授 永松 謙太郎 先生
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