量子コンピュータ発展の切り札? 音と光でインターネットを作る
コンピュータを進化させたインターネット
従来のコンピュータでは不可能な計算も可能にするため、量子を利用したコンピュータの開発が進められています。既存のコンピュータがインターネットでつながることで世界が変わったように、量子コンピュータの活躍にもそれらをつなぐ量子インターネットが必要だと言われています。インターネットを支えるのはコンピュータが出す電気情報を光に変え、遠くまで送る仕組みであり、コンピュータはインターネットの登場によって機能の幅が大きく広がりました。複数台の量子コンピュータをつなげてさらに発展させるためにも、量子インターネットの実現が求められています。
光と音はセット?
量子には原子や電子のほかに、光の粒である「光子(こうし)」や音の粒である「音子(おんし)」があります。机をたたいたときなど大きな音が出ると、たくさんの音子が波のように空間を走ります。さらに光が反射するときも音が生まれており、相互に影響を与えています。例えば体の前に鏡を持ってブランコに乗ったとします。鏡に光を当てると、ブランコがごくごくわずかに後ろに押されます。このブランコの揺れが音の波です。ブランコが後ろから前に戻るタイミングで背中側に光を当てると、揺れがまた少しだけ大きくなります。このようにタイミングよく光を当て続けると振動する音子が増え、音の波が大きくなっていくのです。
光と電気の橋渡しをする音
量子の世界では、電気を確実に光に変換する仕組みがまだ見つかっていません。そこで注目されたのが、光と関係の深い「音」です。電気を音に変換することはイヤホンやスピーカーが簡単にやってくれますが、量子の世界でも比較的簡単です。電気を一度音に変え、音と光を組み合わせて情報を遠くまで送ることが試されています。音を利用して電気と光の橋渡しをする量子コンバータや量子インターフェースなどのパーツが開発されれば、量子インターネットの実現に一歩近づくと期待されています。
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国際基督教大学(ICU) 教養学部 アーツ・サイエンス学科 准教授 山崎 歴舟 先生
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