環境にやさしい「コンクリート」って?

環境にやさしい「コンクリート」って?

多く使われているコンクリート

土木や建築の構造物に使われているコンクリートは、安価で強度や耐久性に優れた材料なので、建設材料として一番多く使われています。セメントと水、そして砂と砂利を混ぜてつくります。その混合する割合によって、強度や耐久性が変わってきます。

塩分除去の新技術

コンクリートは年月を経ると劣化します。塩害も劣化のひとつです。海の近くの構造物などに使われているコンクリートは塩分が内部に浸み込んでいきます。コンクリート構造物は中に鉄筋が入っているので錆が生じます。錆びた鉄筋は膨張し、最終的には周りにあるコンクリートを壊してしまいます。
補修には、従来はコンクリートの悪くなった部分を取り去って、新しいコンクリートに入れ替える方法がとられていました。しかし最近では電気を使った「脱塩」が注目されています。塩分はマイナスイオンの状態で存在しているので、中の鉄筋をマイナスとし、コンクリートの表面をプラスとして電気的に塩分を除去する方法です。

環境にやさしいコンクリート

環境に配慮したコンクリートの研究も進んでいます。セメントは製造するときに、大量の二酸化炭素を放出します。地球温暖化を引き起こす二酸化炭素を軽減するため、火力発電の際に石炭を燃やした灰の「フライアッシュ」を、コンクリートに混ぜる方法が考えられています。とても細かい粒子なので、コンクリート内部のすき間を埋めることができるという点でも注目されているのです。ほかにも、粗くつくられた「ポーラスコンクリート」は、穴が開いたような形状をしています。強度は低いですが、河川の護岸などに使用すれば穴から草が生えてきます。また「アミノ酸コンクリート」は、アミノ酸を混ぜてつくります。海中に沈めると藻が生えてくるので魚類が集まってきて生態系を形成しやすくなっています。テトラポットなどに使用すれば海洋環境に配慮したコンクリートになります。
このように、コンクリートにもさまざまな種類のものが開発されているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

徳島大学 理工学部 理工学科 社会基盤デザインコース 教授 上田 隆雄 先生

徳島大学 理工学部 理工学科 社会基盤デザインコース 教授 上田 隆雄 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

コンクリート工学

メッセージ

身の回りでよく見かけるコンクリートは、代表的な建設材料ですが、内部はとても複雑で、実はまだ解明されていない部分の多い材料です。また、とても丈夫そうに見えますが、実は時間とともに劣化することがわかっています。
私の研究室では、さまざまなコンクリートの劣化現象に対する診断、補修、補強の研究をするとともに、環境にやさしい新しいコンクリートなどの開発も行っています。土木や建築構造物に興味がある人、実験やものづくりがしたい人は、ぜひ私の研究室に来てください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

徳島大学に関心を持ったあなたは

徳島大学は有為な人材の育成と学術研究を推進することにより、人類の福祉と文化の向上に資するため、自主・自律の精神に基づき、真理の探究と知の創造に努め、卓越した学術及び文化を継承し、世界に開かれた大学として豊かで健全な未来社会の実現に貢献することを理念としています。
豊かな緑、澄み切った水、爽やかな風、温暖な気候に恵まれた徳島の地にあって、「知を創り、地域に生き、世界に羽ばたく徳島大学」として、発展を目指しています。