“活性酸素 ”って知っていますか?
酸素濃度・過ぎたるは何とやら
空気中の約21%を占める酸素は、 1774年、化学者プリーストリーにより発見されました。彼は、酸素と思われる気体の中で、ハツカネズミが長生きすることをつきとめました。
記憶力を高めリフレッシュ効果があると言われる酸素濃度は約30%と、酸素摂取は、健康ブームの影響もあり、“酸素バー”と言うものも出現して今や注目の的になっています。
しかし、酸素濃度は高ければ高いほど良いのではなく、酸素濃度100%の環境では、ネズミは1週間で死に、ヒトならば2時間で肺に炎症を起こすと言われています。
活性酸素は、すべて悪者?
活性酸素は、少し前までは活性酸素=悪者という簡単な図式で理解されていましたが、最近の研究で、じつは活性酸素は我々の体を正常に保つ(=恒常性を維持する)ために必須の分子であることがわかってきました。しかしながら何事も“過ぎたるは及ばざるが如し”で、過剰に発生した活性酸素種は細胞を傷つけるという矛盾をはらんでいます。最近ではがん、心筋梗塞、腎炎、肝炎など、多くの生活習慣病の “はじまり ”と “進行 ”に活性酸素が関与すると言われています。
しかし体内では活性酸素が発生することは織り込み済みです。体内には活性酸素を消去、あるいは作用を除去する物質も存在します。
ところで「抗酸化物質を多く摂取すると、活性酸素の害から体を守れる」ということで、盛んに抗酸化を謳った商品が蔓延しました。しかし、大規模臨床研究で、ある種の抗酸化剤により、特定のがんの発生率が上がることが報告され、世界を驚かせました。
ここで活性酸素のことを研究する上で大切なのは、「活性酸素は悪」という固定観念を持たず、体内での活性酸素のありのままの姿を観察し、その本質を探ることです。これまでの分析法の未熟さから、活性酸素の体内での働きをはっきりと実証できているのは、ごく一部なのです。
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