日本人の生活文化は、活断層がつくった?!
日本列島は活断層だらけ
日本は非常に地震の多い国で、日本列島には、大地震の痕跡である活断層がたくさんあります。活断層は、地下の深い部分で地震を発生させた岩盤のずれが地表に到達して地形に残ったものです。活断層は、これまでに何度も活動を繰り返しており、今後も動く可能性があります。阪神・淡路大震災や熊本地震は内陸の活断層の運動が引き起こしたものです。ただ、こうした内陸の活断層が動くのは、多くが数千年に1度なので、活断層があるからといってむやみに怖がるのではなく、今がどのような状態であるのかを知ることが大切です。確かに大きな地震は大変な被害をもたらしますが、一方で日本という小さな国土に高い山や深い谷、大小の河川、台地や平野を形づくっているのは、活断層があるおかげです。
活断層が生み出すものとは
例えば富山平野には、呉羽山(くれはやま)丘陵という、平野の中に突如そびえたつ山がありますが、これは活断層の運動で生まれました。地面の下で両側からグッと押し合ったことで断層に沿って地面が盛り上がり、直線的な丘陵が生まれました。その片側が川に侵食され、今では土砂災害が発生するような急斜面です。一方、反対側の斜面はなだらかで土壌も良く、梨畑が広がるといった異なる風景が見られます。さらに呉羽山丘陵の両側では、それぞれ異なる生活文化圏が形成されているのです。こうした地形がもたらす生活への影響力は、とても大きいといえます。
当たり前の風景に科学的根拠を
さらに、特に活断層沿いには高低差が生まれやすいことが特徴です。人はそれを利用して土地の境界線にしたり、道を通したりしてきました。こうした自然がつくった日常風景に、科学的な根拠を加えることで、住民の土地への理解が深まるでしょう。また地形や気象条件を基に、発生しやすい自然災害や、それに対する防災意識を高めるといった、非常時への備えにも役立つのです。
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富山大学 都市デザイン学部 地球システム科学科 准教授 安江 健一 先生
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