問題です。デザイナーの仕事は「デザイン」。○か×か?

問題です。デザイナーの仕事は「デザイン」。○か×か?

デザインを仕切るのはディレクター

デザインは「デザイナー」の仕事、というのが一般的な認識でしょう。広告の世界でも、パソコンで何かをつくるのが仕事であり、それを行うのがデザイナーというイメージがあります。しかし実際の制作現場では、グラフィックデザイナーのほかに、カメラマンやコピーライターといった専門職が作業を分担し、企画からフィニッシュまでのすべての指示と決断は、「アートディレクター」によって行われています。つまりディレクターこそがデザインをつくり、世に出す張本人なのです。

コンセプトづくりが重要

広告物は、依頼主(クライアント)の「商品を売りたい」「イメージを良くしたい」といった希望を伝える道具です。伝え、説得するための大まかな戦略や、目標達成への方針などを表したものが「コンセプト」です。ディレクターはまず、これを組み立てなければなりません。デザイナーやコピーライターたちに進むべき道を示すのです。コンセプトに沿って、伝える人々の傾向が決まり、掲載されるメディア(媒体)が決まり、キャッチフレーズが決まり、デザインが決まり、そして世の中に発信されます。
コンセプトづくりに求められるのは、多角的なものの見方です。情報を一方向からだけではなく、違った角度から見る必要があります。例えば、「雪が溶けたら何になる?」と聞かれて、「水」や「春」以外に、「冬の最後のひとしずく」などと答えられる多様性や展開力が必要です。

情報を伝える責任

現代は携帯電話のおかげで、待ち合わせの場合でも「駅前で」といった大ざっぱな連絡でこと足ります。しかしもし突然、携帯電話の使えない事態になったとしても、あなたはトラブルのないスムーズな連絡ができるでしょうか?
広告に限らず、ビジュアルデザインには伝える責任が求められます。誤った情報は、依頼主や大衆に混乱と迷惑をかけてしまうからです。不特定多数に発信する広告の場合は、わかりやすく、合理的で、かつ魅力的な伝達をしなければメッセージは正しく届かないのです。

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富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 デザイン情報コース 准教授 沖 和宏 先生

富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 デザイン情報コース 准教授 沖 和宏 先生

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デザイン情報学

メッセージ

ひとつの価値観や、常識だけに固執するのはつまらないことです。例えばヒーローの怪獣退治は、人間にとっての正義ですが、怪獣視点に立てば、楽しい散歩中に突然現れた暴漢に過ぎず、それは理不尽な暴力です。
大切なのはひとつの物事にいくつかの価値観をもつ力です。それは感動につながります。感動とともに記憶された情報は、自分らしいユニークな考えや、発想に役立っていきます。誰かの感想に合わせるより、自分の感動をたくさん積み重ねていく方が楽しいと思います。

先生への質問

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