「エッジコンピューティング」って何? 進化する情報インフラ
クラウドへの集中を避ける
Googleの検索やAmazonの商品サイトなどのサービスではクラウドが使われています。クラウドとは、データを預ける銀行のようなものです。情報をすべて自分の手元で管理するのは大変です。銀行にお金を預けるように、企業や人がクラウドを使って安心して便利に情報を出し入れしているのです。
ただ、クラウドは単なる情報の置き場ではなく、裏では集計や並べ替えなどの処理も行われています。アクセスや処理命令が集中した場合に反応が遅くなったり、障害があったりしたらどうするかという問題があります。そこで、クラウドと自分との間に、情報を処理する別の層を作って運用しようという流れがあります。5G時代に注目される「エッジコンピューティング」です。
信頼度を高める
エッジコンピューティングは、クラウドの下にサーバを複数配置するイメージです。データの処理をエッジサーバで行ったうえで、必要なデータだけをクラウドに送るということができ、負荷を分散できます。また、利用者に近いサーバが使われるので遅延が少なく処理できるというメリットもあります。
気になるのは情報の預け先の信頼度です。クラウドもエッジコンピューティングも、ソフトウエアは人が作ったものなので、バグと言われるプログラム上のミスが必ずあります。そのバグを100%近く取り除く方法の研究も進んでいます。今どのぐらいバグがなくなったのか、方程式を解けばグラフで見えるようになっており、サーバについても、建物の多さや人口密度、限りある費用など条件を数式に盛り込み、最適な配置先を考える研究が行われています。
理想はミスの「自然治癒」
エッジコンピューティングが普及するのは、まさにこれからです。維持、メンテナンスをする技術者側に焦点を当てた研究は、普及には欠かせない分野です。特に、AI(人工知能)に学習させることで、メンテナンスも自動化し、トラブルをコンピュータ自身で解決する「無人化」が研究のひとつの目標となっています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
山口大学 工学部 電気電子工学科 教授 田村 慶信 先生
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