AIエッジコンピューティングで行動解析の基盤をつくる
修学旅行生は熊本城をどう周る?
画像の中から人物や車を認識して追跡する技術は、自動運転をはじめ、さまざまなところに応用できます。例えば、熊本城に設置された監視カメラの映像から個々の人物やグループを認識し、移動経路や速度を測定する実証実験が行われています。AIを活用することにより、多数のカメラ映像間での同一人物、同一グループの認識・追跡を実現しています。修学旅行生は熊本城のどこをどういう順序で、どのくらいの時間をかけて見学しているかといった観光客の行動解析により、サービスの改善や新しいサービスの企画・開発が可能になります。
AIエッジコンピューティング
このシステムのように多数の端末がネットワークにつながっている場合、インターネットを介してデータをクラウドに送って結果を返してもらう方法では、ネットワークが混み合い処理に時間がかかってしまいます。そこで、大半の処理は端末(エッジ)で実行して、重い処理だけをクラウドで行う「エッジコンピューティング」の研究が進められています。
エッジの多くはカメラやマイク、各種センサといったバッテリー駆動型の機器なので、電力消費が少なく、かつAI処理を高速に行える専用のハードウエアが開発されました。このハードウエアでは、回路構成の書き換えが可能で電力をさほど消費しないFPGAというデバイスを使うことで、エッジの種類などによる処理の多様性やAIモデルの変更への対応を可能にしています。
フィールドテストを迅速に行える仕組み
「コンパイラ」と呼ばれるプログラムによって、このAIエッジコンピューティング専用ハードウエアにアプリケーションを載せる仕組みも開発されています。コンパイラは、AIの精度を落とさずに、できるだけ速く電量を消費しないハードウエア用の命令セットを自動的に作成します。これにより、AIの開発者はハードウエアの知識がなくても最新のAIモデルを市場やフィールドに即座に導入し、実際に動かして評価することができるのです。
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