自動運転や遠隔医療に不可欠! データ通信を高速化するネットワーク

データ通信の物理的な距離
パソコンやスマートフォンでウェブや電子メールなどのインターネットサービスを利用するとき、クラウド上のサーバで情報処理を実行する「クラウドコンピューティング」の技術が使われています。しかし、端末機器とクラウドサーバが物理的に遠く離れているとき、データの通信に時間がかかります。
自動運転や遠隔医療などのサービスは、データの遅延が事故につながります。解決策の一つとして、「エッジコンピューティング」が注目されています。これは、アクセスポイントや基地局など、データを必要とする端末機器の近くにサーバ群を分散配置して情報処理を行うことで、通信遅延を小さくするものです。
「行列のできない」情報処理
エッジコンピューティングの課題は、サーバがたくさんあっても、一つ一つの処理能力が小さいことです。スーパーで一つのレジに人が集中したときのように、処理をうまく分散させないと待ち時間ができて、遅延が起きてしまいます。
そこで、データの交通整理を行う研究が行われています。どの経路を通ってどのサーバでデータを処理すべきか、また、何を優先的に処理すべきかなどを自動的に判断できる、遅延のないネットワークの構築です。
キャッシュを活用して効率よく
一時的にデータをためておく「キャッシュ」の活用も、遅延をなくす方法の一つです。例えば自動運転なら、処理に時間がかかる画像データの解析結果や、リクエストされる頻度の高いデータをエッジサーバに一時保存しておけば、効率よく通信できます。しかし、どの情報をキャッシュするかを判断するのも、課題の一つです。
こうした遅延のないネットワークを社会基盤として構築できれば、自動運転や遠隔医療の普及が進むと考えられます。また、通信の効率化は消費電力を削減し、バッテリーの持続性向上にもつながります。AR、VRなど大量の画像データの処理が必要なサービスでも、エッジコンピューティングの技術でユーザの満足度向上が期待できます。
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