観光地をどう創り出す? デスティネーションの創造と自然の活用
自然を活用した観光
観光地といえばパリや東京などの街中を想像するかもしれません。しかし、近年はネイチャー・ベースド・ツーリズムという、自然を活用した観光に注目が集まっています。人が密集せず、快適に過ごせる旅行先として、観光業界で期待される場所が国立公園や里山です。また、地方に新たな観光地(デスティネーション)つくる取り組みは、地域振興やオーバーツーリズム解消の点でも期待されています。
ところで、これまで観光地ではなかった里山などに、どうすれば観光客を呼び込めるのでしょうか?
デスティネーションをつくる5つの方法
デスティネーションをつくる方法は、5つ程度に分けられます。1つ目は屋久スギなど魅力的な「観光資源をそのまま展示する方法」です。食事に例えれば、お刺身やサラダです。2つ目は美術品など屋外展示できないものを建物内で見せる「観光施設の建設」です。食事では折詰め弁当が近いです。3つ目はある地域を囲い、内部をファンタジーや美しい自然で埋め尽くす「パークの設定」です。食事ではビアガーデンやBBQでしょうか。4つ目は期間限定で音楽フェスなどを行う「イベントの開催」です。食事でも期間限定メニューは人気です。5つ目は「制度の活用」によるブランディングです。世界遺産のように価値あるブランドイメージが定着すると観光客が集まります。食事でもミシュランなどの世界的ブランドがあります。以上の方法を単独で、あるいは上手に組み合わせる知識を蓄え、技術を身につけると、一流シェフの様な「観光地づくりのプロ」になれます。
人を近づけないための観光学?
自然観光地の管理者には、観光客を近づけない技術も必要です。例えば珍しい野生生物を見るために観光客が大勢押し寄せると、その種が絶滅するかもしれません。行き過ぎた観光はオーバーツーリズムと呼ばれます。オーバーツーリズムは、地域の自然環境や地元の生活を脅かし、破壊する危険性があります。デスティネーションをつくるときには、環境や住民生活との調和も考えなければならないのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 観光学部 観光学科 教授 田中 伸彦 先生
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