住民が「得意」を生かして主役になる! 持続的な地域活性化の仕組み

住民が「得意」を生かして主役になる! 持続的な地域活性化の仕組み

地域活性化は「笑顔」と「ともに」

かつて地域活性化といえば、例えば自治体が外部業者に委託してイベントを行い、一度限りのにぎわいで終わるケースもありました。それが昨今では、地域住民が自らの「得意」や「好き」を活かして、地域の暮らしを楽しく豊かにする「住民参加型」「継続する」取り組みが当たり前になりました。うまくいくコツは地域の人たち自ら自分たちの暮らしを「笑顔」にすることです。そして一人ではなく「ともに」考えることです。その「笑顔」と「ともに」を生み出すのが、人と人をつなぐ「関係性のデザイン」、つまりコミュニティデザインです。

住民がコミュニティデザインの実践者

2014年に「ユネスコ食文化都市」に指定された山形県鶴岡市は「食」に関連する住民の取り組みも活発です。一例として地域住民による体験観光ツアーの企画実施があります。例えば、漁師さんが都会から来た親子や修学旅行生に魚の調理法を教えたりします。地域で昔から受け継がれてきた知恵や技が、地域外からの来訪者に喜ばれて、双方に笑顔が生まれます。こうした体験をきっかけに、再訪者や地域産品の購入者が増えると、地域住民は「生きがい」だけでなく「収益」も得られます。地域住民の「できること」と訪れる人の「求めること」をつなぐ場づくりは、コミュニティデザインの実践例の一つです。

地域の未来は自分たちの手でつくる

鶴岡市では「ふうどガイド」制度を設け、住民ガイド育成を継続しています。このガイド育成と、そこで誕生したガイドさんの活躍は、まさにコミュニティデザイン型の人づくりといえます。「語る力」だけでなく「企画力」まで養うトレーニングにより、高校生からシニアまで多様なガイドが誕生しました。彼らが自らの企画で地域内のヒト・モノ・コトを結び、来訪した人に伝え、新たなつながりをつくることはコミュニティデザインの実践といえます。住民が地域創生の主役となって自ら走り、幸せな暮らしが長く続くことをめざすコミュニティデザインは、地域の未来に希望をもたらす学問なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北芸術工科大学 デザイン工学部 コミュニティデザイン学科 准教授 西 直人 先生

東北芸術工科大学 デザイン工学部 コミュニティデザイン学科 准教授 西 直人 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

コミュニティデザイン、社会学、生活科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は東京都と山形県鶴岡市の2拠点で暮らして、コミュニティデザインの事業と研究を両立しています。いろいろな土地を旅して人と出会うことが好きなので、自分と、自分に出会いつながるみなさんが、ともに楽しく暮らしていけるためにこの研究を始めました。住民一人一人がいきいきと顔を輝かせて地域が元気になる姿を見ると、自分自身も多くの気づきを得ます。他者の喜びが己の喜びと感じられるので、まずは地域の皆さんとお茶を飲んでおしゃべりをしながら、ともに変わっていくコミュニティデザインの楽しさを味わってみませんか。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東北芸術工科大学に関心を持ったあなたは

1992年に開学した公設民営の大学です。デザイン工学部と芸術学部で15学科・コースがあり、「藝術立国」を教育理念に、「人と自然を思いやる想像力と、社会を変革する創造力を身につけ、自らの意思で未来を切り拓く人材の育成」を行っています。4年間で以下の能力を磨き、現代社会の抱える課題を解決できる人材育成を使命としています。
1. 想像力:本質を見ようとする姿勢、純粋な目
2. 創造力:想いを形にできる力
3. 意志:問題提起と解決への強い意志
4. 社会性:社会的・職業的自立のための能力・態度