観光客と地域住民を幸せにする「観光政策」とは何か

観光客と地域住民を幸せにする「観光政策」とは何か

人はなぜ観光するのだろう?

人は時間やお金をかけて、何のために観光に出かけるのでしょうか。その土地にしかない景色や史跡・施設を楽しむ、教養を高める、名物を味わう、人間関係を深めるなど、幅広い動機があると考えられます。
2013年、沖縄を訪れた観光客は、過去最高の約658万人でした。国内に加え、台湾、香港、韓国など外国人観光客も増えています。調査によると、沖縄を訪れる観光客も、名所や戦跡めぐり、水族館、マリンスポーツ、文化や食体験など、さまざまな目的で来ていることがわかりました。

観光地のジレンマ

近年観光は、その経済効果が注目されています。観光客が滞在することで、周辺の宿泊施設や交通機関、飲食店、小売店、娯楽スポットなどが活性化し、地域の人の働く場所をつくり出しているのです。少子高齢化による経済縮小が問題となっている日本では、国の政策としても「観光立国・地域活性化」が掲げられています。
しかし観光は、経済効果を生むだけではありません。観光客が増えることで、自然が壊されたり、ゴミが増えたり、交通渋滞がひどくなるなどのマイナスの効果もあります。観光客の期待に応えようと、観光地のほうが固有の文化を観光客のイメージに合わせて変えてしまうケースも少なくありません。

地域づくりと観光政策

「観光政策」では、観光産業で地域を発展させるための政策を考えます。判断の基盤として、観光客と地域住民に要望や意向を聞く調査が行われています。また既にある政策を評価し、改善策を考えることも必要です。しかし政策の良し悪しは、さまざまな考え方の人がいるので難しいのが現状です。例えば自然を守るために入域税をかけるのか、車の利用を規制するのか、それともたくさんの観光客を呼ぶために宿泊施設を整えるのか、住民の中でも意見が分かれています。けれど多様な価値観を理解し、地域らしい発展とは何か、より良い課題解決策を模索するところに、この研究分野の意義と面白さがあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

名桜大学 国際学部 国際観光産業学科 准教授 大谷 健太郎 先生

名桜大学 国際学部 国際観光産業学科 准教授 大谷 健太郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

政策科学、観光研究、観光政策

メッセージ

私は、観光政策が地域に与える影響について研究しています。観光に興味があるあなたには、ぜひ観光が盛んな地域で学ぶことをお勧めします。専門知識を得るだけでなく身近に体験ができ、さらに観光客と住民、双方の目線で問題を考えられるようになるからです。
名桜大学では、国内有数の観光地である沖縄県の地の利を生かし、市町村と連携しながら、観光産業に携わる専門家を育成しています。私のゼミでは、観光客と地域住民を調査するフィールドワークを通して、課題を見抜く力とそれを解決する力を養っています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

名桜大学に関心を持ったあなたは

名桜大学は、平和・自由・進歩を建学の理念として1994年に開学。生きる力を育む教養教育(リベラル・アーツ)を基盤に、国際学群では、社会の多様なニーズに対応し地域および国際社会で活躍できる人材を育成、人間健康学部では、健康に生きる価値を人々と共に創りだす専門職、健康支援人材を育成しています。生涯のチカラとなる沖縄・名護での4年間。将来への扉は、ここから開かれています。