顔の画像から心臓のドキドキがわかる

顔の画像から心臓のドキドキがわかる

自分に合った化粧品を選ぶには

肌を整える基礎化粧品には、美白や血行促進などの効果をうたう、さまざまな製品があります。これまでの化粧品業界では経験則をもとに、対面販売でお客さんに合いそうなものを勧めていました。しかし、これから伸びると予想されるインターネット上のECサイトでの販売では、画面を通したアドバイスが必要となります。

顔の画像の要素を分析する

肌の色は主に、血液内のヘモグロビンの色素と、日焼けによって生成されるメラニン色素によって構成され、さらに自然光や照明の色と光が当たることで生じる陰影が加わります。それを撮影したデジタルカメラの画像は、画素と呼ばれる画像情報の最小単位である正方形が集まってできており、それぞれの画素はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の値の組み合わせで表されます。そのため、まず顔の画像から不要な情報である光の色や陰影の成分を取り除きます。その上で、画像の色を数学的にメラニン色素とヘモグロビン色素の分布情報に変換します。RGBの3つの要素に対して、肌もメラニン、ヘモグロビン、陰影の3つの要素を持つため、3つの変数の連立方程式を解くような形で解析するのです。画像を通して2つの色素の状態がわかれば、その人に合った化粧品のアドバイスが可能になります。

遠隔で心拍数を把握

この技術は、ヘルスケアの分野への活用も可能です。人間は心臓の拍動により、肉眼ではとらえられない程度に顔色の赤みが拍動とともに変化します。これはヘモグロビンによる色なので、顔の画像からヘモグロビンの情報を抽出することで拍動の数である心拍数が把握できるのです。コロナ禍で多くの人が自宅療養になると、病院や保健所が全員に安否の連絡を取るのが困難になりました。このとき、例えば自宅療養者が遠隔医療のシステムにより毎日顔画像を送信し、心拍数が上昇したと判断された人だけを抽出することができれば、連絡の労力は軽減できるでしょう。このような画像解析の技術は、超高齢社会での在宅医療でも活用が期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 情報・データサイエンス学部 情報・データサイエンス学科 准教授 津村 徳道 先生

千葉大学 情報・データサイエンス学部 情報・データサイエンス学科 准教授 津村 徳道 先生

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工学、情報工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高度成長期の日本は、個性を抑圧し、みんなが同じ価値観に向かうことで成長してきました。しかし、現在の複雑な世の中では、その頃の日本のやり方では前に進めていません。もっと、それぞれの個性をフラットに生かしていくように変わらなければいけないと思います。
ぜひ、自分の個性を大切にして、自分が持つ価値観を高めていってください。低い価値観のままでは、低いところまでしか成長できません。ほかから与えられた価値観ではなく、自分の個性の中の価値観を、自分で高めていく必要があるのです。

先生への質問

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。