認められたい若者たち

認められたい若者たち

わたしをみて!

携帯電話やパソコンを使って、インターネット上に自分のプロフィールなどを載せたことがありますか。そのような通信機器を使えば、日本中、いや世界中の人に自分のプロフィールや日記を公開することができます。そして、いま多くの若者がインターネットを使って、自分という人間を表現しようとしています。こういった動きは、「他者に認められたい」という強い欲求を持っていることに起因していると考えられます。
承認欲求と呼ばれるこのような欲求が若者の間で高まった原因として、大人と関わる機会が減ったことが挙げられます。かつては、近所の人たちと話し、相談する機会がありました。そうやって多くの大人と触れ合うことで、自分という存在が認められるということを実感することができたのです。

さまざまな大人の、いろいろな価値観に出会う

現在では、親と教師、この2種類の大人としか接する機会のない中高生が少なくないでしょう。このような環境では、もし、親や教師が自分の存在や価値観を認めてくれなかった場合、拠り所を失ってしまいます。いまやインターネット上のブログやプロフィールが、自分の表現や価値観を認めてもらいたいという欲求のはけ口となっているのです。
大人と接する機会を増やすことは、多くの若者が無意識に求めていることと言えます。そういった機会を得るために、アルバイトをするのもひとつの手です。アルバイトとして社会人の中に混ざることで、家庭や学校とは異なる環境に身を置くことができます。そこには店長やチーフ、板長など、いろいろな種類の大人と接する機会があります。たとえ自分の価値観が、両親や教師に認められなくても、それがアルバイト先で出会う大人たちに受け入れてもらえるかもしれません。
狭い環境で特定の大人とだけ接するのではなく、子どもの頃から、すでに社会にいる多くの大人たちと接し、人の価値観は十人十色であるということを認識できるようになれば、きっと自分の価値観やアイデンティティに自信が持てるようになります。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 教育学部  教授 藤川 大祐 先生

千葉大学 教育学部 教授 藤川 大祐 先生

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メッセージ

大学は学ぶところです。多くの本を読み、教員やほかの学生と大いに議論し、学校や地域の現場に出てさまざまな体験をします。社会の急激な変化の中で教育にはたくさんの課題が突きつけられていますから、高い意欲をもつ人が教育を学び、社会に貢献してくださることを願っています。高い意欲をもつということは、例えば大学入学前から教育に関する本をたくさん読み、広い学問分野に関心をもって学校で教わる以上のことを自主的に学び、文章を書くなどの表現を豊富に行い、地域を活性化する活動に貢献しているということだと私は考えています。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。