海洋が舞台! 造船から新エネルギー開発と技術革新を
島国日本の海洋エネルギー発電
世界には無数の離島があります。島で新しい事業や開発を行う場合、既存の発電設備だけでは電気が不足するため、あらたな電源として再生可能エネルギーが求められています。例えば、タービンを使った「海中グライダー式発電装置」は、海流の力で発電する自然環境に優しい電力不足解決策のひとつです。安定した発電が可能で、陸上の変電所を経由して電力が必要な場所に供給されます。こうした装置の開発は、実験段階では水槽や海上で曳航(えいこう)するなどの大がかりな設備が必要であり、造船技術の分野が応用されています。
新時代の船を造る
日本で生活に使っている物資の多くは、外国から船によって運ばれています。かつて太平洋をわたるのに1カ月以上かかっていた船便は、現在は2週間にまで短縮され、船も大型化しています。そして陸上と同様に、船舶の「ゼロエミッション」も急速に進みつつあります。廃棄物などのエミッション(排出)をゼロにするために、重油に代わる次世代燃料として水素・アンモニア・カーボンリサイクルメタンなどが有力候補とされています。まずは港湾で働くタグボートなどからLNG(液化天然ガス)に代替し、さらにクリーンな水素エネルギーなどへのシフトが進もうとしています。
燃料の転換だけでなく、船員の担い手不足を補う自動運航技術も研究されており、一方では働く環境の改善として居住区の快適性も高まっています。
海底資源の開発にも必要な技術
日本のEEZ(排他的経済水域)となる周辺海域には、メタンハイドレートなどの海底資源が確認されており、陸上資源に乏しい日本では、海底資源の入手に向けて研究が行われてきました。資源の量や質も重要ですが、それを採掘、運搬するための技術も不可欠です。海上に造った掘削基地に船を接岸する新しい技術や、資源を運搬する専用船の設計・造船など、複合的な技術開発が求められます。地球最後のフロンティアといわれる海洋や海底への進出に、日本のお家芸といえる造船技術が貢献できるのです。
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先生情報 / 大学情報
長崎総合科学大学 工学部 工学科 船舶工学コース 教授 松岡 和彦 先生
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