電波が届かなくなるのはなぜ? 途切れない無線通信の研究
無線通信はなぜ切れる?
街中や電車内でスマートフォンの電波が途切れてしまうことがあります。無線通信を利用する人や機器が増え電波同士が干渉すること、建物に電波が遮られること、基地局から離れすぎることなどが原因で、通信がつながりにくくなるからです。生活をより便利にするために、どこでも使える無線通信の実現に向けた研究が行われています。
電波の方向を工夫する
スマートフォンに限らず、電波の干渉を防ぐためには電波の指向性が重要になります。電波は空間全体に広がるため、電波の方向(指向性)を制御することで、互いに干渉しないようにできます。例えば0度方向と90度方向に別の無線機器が存在する場合、0度方向に電波を向けることで通信を行い、90度方向には電波が届かないようにすることで干渉を減らすことができます。このような指向性制御は電波の強さや位相を変えることで実現できます。また、無線機器は24時間いつでも電波を出しているわけではありません。そこで、機器自身が「今は近くで電波が出ていないから自分の電波を出そう」と判断して通信のタイミングを制御することで、干渉を防ぎながら効率的な通信を実現できます。このシステムを実現するために、電波の観測技術も研究されています。
物と連携してより便利に
無線通信は、状況や組み合わせる対象によって最適な通信を提供することが求められます。それぞれがむやみに強い電波を飛ばすと干渉が起こりやすくなり、かえって安定しなくなるからです。例えばドローンは「無線は切れて当然」という前提で設計されており、基本的に電波が途絶えると安全のために自動で離陸場所に戻ります。もしドローンを無線通信と連携して開発を行えば、「無線が切れた場合は近くの通信が安定する場所まで自動で飛行する」という方法も考えられます。離陸場所まで戻るのではなく、通信できる範囲まで移動することでバッテリー消費を減らし、ドローンは飛距離を伸ばしたり、過剰に強い電波を発する機器を作る必要もなくなるといったメリットが生まれるのです。
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湘南工科大学 工学部 電気電子工学科 准教授 宗 秀哉 先生
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