実は世界中で大活躍! 身近な資源「ミリ波」とは?
ミリ波ってなんだろう?
ミリ波とは電波の一種で広い意味で言えば電磁波の一領域です。電磁波の中で3THz以下の周波数を電波と決めています。電波は普段の生活で、スマートフォン、テレビ、ラジオやコンピュータ、衛星通信などで使われています。周波数が、電波より少し高くなるとコタツで使われる赤外線領域に、もっと高くなると人間の目で見ることができる虹色の可視光線領域へとつながっていきます。
その中で波長が1-10mm、周波数が30-300GHzの範囲をミリ波(ミリ波帯)とよびます。電波の一領域であるミリ波は、混信を防ぐために電波法で割当周波数が決められる貴重な人類共有の資源です。
自動車衝突防止レーダーにはミリ波を利用
周波数が高くなると電磁波は光の性質に近くなり、ものを通り抜けやすくなります。ミリ波はちょうど空気中の酸素分子の運動に吸収されやすいので、遠くまで飛ばず、大気に吸収されやすい性質があります。この性質をうまく利用した技術の一つに、自動車衝突防止レーダーがあります。
あまり遠くに飛び過ぎると混信のもとになるため、周波数76GHz帯・79GHz帯のミリ波が自動車衝突防止レーダー向けに使われています。レーダーに使われるアンテナは、装置の電子回路と伝搬路である大気とをうまく信号が伝わるように縁結びする大切な役割をしています。
生活の中で息づくミリ波の技術
ミリ波は交流電気を増幅させる発振器を使って発生させます。交流電気では、電流の向きが常に入れ替わっています。例えば、コンセントの交流電気は東日本で50Hz、つまり1秒間に50回入れ替わっています。この周波数をどんどん高くして1秒間に300億回入れ替わると、ミリ波の領域になるのです。
ミリ波帯は、私たちの生活の回りで、雨風の様子をうかがう気象レーダー、空港のセキュリティスキャナー、無線通信、星を調査する電波望遠鏡など、多くの場所で使われています。人間の目には見えないけれど大活躍しているのです。
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拓殖大学 工学部 電子システム工学科 准教授 常光 康弘 先生
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