5才児から100才の人まで、一緒に遊べる運動装置
人と人を近づけるレクリエーション
福祉の現場、とりわけ高齢者施設には、さまざまなレクリエーションがあります。しかし、日本の街には公園など広い遊び場が少なく、多様な年齢の人たちが一緒に遊びながら健康増進にもつながるような装置は、ほとんどありません。同年齢の子どもたちが外で一緒に遊ぶ姿も、なかなか目にしないほどです。そんな今、人々が一緒に楽しめて運動にもなるレクリエーション用の低コストな装置の開発が求められています。
センサーと無線の技術で作る楽しい福祉機器
あるレクリエーションの装置では、縄跳びやハンドグリップ、ボクシングミット、けん玉など好きなもので運動を行います。それぞれの運動器具は、運動器具に取り付けられたセンサーと無線でミニカーとつながっていて、縄を回したり、手に圧力を加えたりすると、その力に応じてミニカーが動くのです。スマートフォンを振る簡単な動作だけでもミニカーを動かせます。そばで見ている人も、拍手したり応援したりして、いつのまにか全身で運動をすることになります。それは、運動をする楽しさや競争する楽しさだけでなく、エンターテインメント性が参加者を楽しませてくれます。競技が終わっても、参加者はミニカーを媒介にコミュニケーションを取るなど、みんなが笑顔になれる福祉機器です。
工学プラス○○学のアイデア
この事例は、子どもから高齢者が遊びながら一緒に運動ができる仕組みを取り入れて身体能力をアップさせる、という発想で作られています。開発にあたっては、運動生理学の知見とマイコン・無線・センサーといったシンプルな工学技術を組み合わせたものです。一つ一つは単純な組み合わせですが、掛け合わせると新しいものができ、世の中を少し楽しく、快適にしてくれます。工学の中でもオーソドックスな「モノづくり」、エンジニアリングの得意分野に、体育や福祉といった別の分野を、いわば「編集」することによって、これまでなかった新しくて人に優しい仕組みが生まれるという事例です。
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先生情報 / 大学情報
湘南工科大学 工学部 人間環境学科 教授 池原 忠明 先生
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