ロボットの力で、農業の省力化、品質アップ、収量アップをめざす!
GPSとAIで植え付けや収穫を自動化
農業の担い手の高齢化が進み、農作業の負担増や人手不足が問題となっています。稲や小麦の栽培に関しては既にかなり自動化されていますが、野菜についてはまさに研究開発が進行中です。その一例に、玉ネギの植え付けや除草、収穫を行うスマートトラクタがあります。従来のトラクタは操作に熟練の運転技術が必要で、操縦者に大きな負担がかかっていました。GPSとAIにより自動運転を行うスマートトラクタの開発により、作業が大幅に省力化されています。
雑草や作物をAIで認識する
除草や収穫では、カメラで取り込んだ画像から背景を除去して作物の位置や形状を認識するのに、AIが活用されています。トラクタが収集したデータを5Gの無線ネットワークでAIサーバに送り、処理結果をトラクタに戻して認識を行います。ブドウのように実の一部が葉に隠れるものは、見えている部分に基づいて見えない部分を補完する「視覚補完」も必要です。学習データを変えることで、除草と収穫という異なる作業に対応できるのがAIの利点です。
農業用ロボットの場合、屋外で稼働するためにロボットアームが風やトラクタの振動で揺れて不安定になります。そのほかにも作物による収穫方法の違いなど、さまざまな課題への対処が求められており、解決方法が研究されています。
持続可能な農業をめざす
農業のスマート化の目的は、省力化だけでなく、品質や収益性の向上および持続可能性を改善することにあります。玉ネギの苗の植え付け作業では、同じ面積に人手よりもたくさんの苗を植えることができるため、収穫量が約9%アップしました。肥料を効率良く使うために、土壌データと収穫データを分析して投入効果のあるエリアを特定する方法は既に開発されています。今後は、病害中や雑草を取り除く「防除」や、畑を耕す「耕うん」もピンポイントで行えるようになるでしょう。さらに、電動小型ロボット農機の開発や再生可能エネルギーの利用なども進められていきます。
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先生情報 / 大学情報
北見工業大学 工学部 地域未来デザイン工学科 機械知能・生体工学コース 准教授 楊 亮亮 先生
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