五輪の正式種目になって注目されるサーフボードの性能評価
注目されるサーフボードの評価
東京2020オリンピック競技大会から、サーフィンが正式種目に加わりました。そこで注目を集めているのが、サーフボードの性能や品質の評価方法の研究です。ただし、時々刻々と状態が変わる波の上で使うため、サーフボードの強度やしなり具合のリアルタイムな測定が難しいこともあり、数値で表す手法が確立されていないのが現状です。
体重や技術によって変わるボード選び
サーフボードは主に、樹脂とガラス繊維を組み合わせた「繊維強化プラスチック(FRP)」という素材で作られています。ボードのしなり具合などで使い心地やパフォーマンスが変わります。また、使う人の身長や体重、脚力、技術、どんな波に乗りたいかなどを考慮して、その人にあったボードを選ぶことも大切です。
そのため、上級者はボードのカスタマイズをしますが、シェイパーと呼ばれる職人の経験に頼ってきました。また、初心者の場合、適切なボードを選べないと安全や上達スピードにも影響しますが、今のところ大まかな選定基準しかないのが現状です。
サーフィンの記録更新や楽しさアップに期待
現在行われている研究は、ボードにひずみゲージなどのセンサーをつけて実際にサーフィンをしてもらった状態での、ボードにかかる荷重を測定する方法の確立です。その数値データが蓄積されて、使い心地との関連が分かれば、より客観的で適切なボード選びやカスタマイズができるようになります。さまざまなタイプのボード、技術や体形の違うユーザーで測定を繰り返し、データを集めることで、評価方法や測定装置の確立をめざした研究が進められています。
こうした評価方法に基づいて改良され、サーフボードの性能がより向上すれば、「ボードに立てるようになるまでが難しい」と言われているサーフィンが、もっと気軽に楽しめるスポーツになるでしょう。また競技では、記録を更新するようなパフォーマンスを出せるボードが開発される期待も高まります。
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先生情報 / 大学情報
湘南工科大学 工学部 機械工学科 教授 野中 誉子 先生
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