「最適化」を使い身近な問題を解決しよう
使い道はルート検索だけじゃない
今や電車の乗り換え案内や目的地へのルート検索が当たり前のように使われています。実は道順に限らず、最適な方法を探すというのは現実によくある問題です。例えば楽器の演奏で音符数が多いパートを演奏するとき、どういう指の動かし方が最もロスが少ないのか。あるいは機械翻訳で、英語を滑らかな日本語にするには、それぞれの単語に対応する意味を、滑らかな順番に並べ替えなければなりません。ほかにもスポーツの試合スケジュール作成など、日常のさまざまな場面でルート検索と同じ仕組みが使われています。
「制約」のモデル化がポイント
注意したいのは、用途によっては、最短ルートがベストとは限らないということです。小学生の下校ルートを作るなら、なるべく人通りの多い道を歩き、できるだけ複数で下校させるという配慮が必要になります。生徒を見守る学童擁護員や先生の配置場所も併せて考えなければなりません。そうした「条件=制約」を踏まえたうえで最良の答えを導き出すのが「最適化」です。まずは問題の制約をピックアップし、数理的にモデル化することから始めます。そして作られた数学的問題を解くのに必要なのが、計算の手順「アルゴリズム」です。
最適化は輸送の幅を広げられるか
最適化のノウハウはすでにトラック輸送に使われ、いずれは船舶や飛行機にも応用できると考えられています。ただし、いずれも自然の影響を受けやすく、さらに飛行機の場合はミスの原因になるため高度を変えられない、スピードも最も経済的な基準速度のプラスマイナス数パーセント程度しか変えられないといった制約があり、難易度が高いのです。
新しい輸送手段として注目されるのがドローンです。ドローン単体での無人運転はもちろん、トラックや船舶と組み合わせることで輸送の幅が広がります。島が点在するような場所でもいちいち船が着岸しなくて済み、うまく運用できれば大きなメリットになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東京科学大学 理工学系(旧・東京工業大学) 工学院 経営工学系 教授 松井 知己 先生
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