社会に出てから本当に必要な力とは
自分で課題を見つけ出す
学生に「自分で好きな研究テーマを見つけよう」と言っても、好きなテーマをひとつ選ぶのは、なかなか難しい作業のようです。受け身になって習うのに慣れていると、能動的に課題を見つけ出すことができなくなってしまうのかもしれません。
社会に出て必要とされるのは自ら課題を発見する力です。研究では、一日中考えていても苦にならないぐらい好きなテーマを見つけようと指導しています。ただし、好きなテーマを見つけるだけでは不十分です。それがいかに社会に役立つものなのかを考え、それを実証する必要があります。すべての研究がよい成果をあげられるわけではありませんが、「役に立つものを作りたい。どうしたら役に立つだろうか」と考える過程が大事なのです。
スクラップブックの開発
スクラップブックというインターネットのソフトを作った学生がいました。新聞記事をスクラップするように、ウェブの情報を集めることができるソフトです。彼は、インターネット閲覧に役に立つソフトを作りたいという一心でソフト開発をすすめ、スクラップブックを作り出したのです。このソフトは、簡単にウェブ上の記事をダウンロードでき、ウェブ上の記事が変更されたり削除されたりしてもダウンロードした記事はそのまま残るので、調べ学習などで大いに役に立ちます。
スクラップブックは無償で公開されています。ユーザーからの評価はとても高く、現在、全世界のユーザーに利用されています。開発した学生はスクラップブックの開発にやりがいを感じ、卒業してからも別の仕事をしながらメンテナンスや機能拡張を続けています。
教育は人間が対象なので、テーマが無限大に広がります。そのなかからアイデアを見つけ出して開発し、その効果を実証する。それは、社会人になって会社に入ったあとに、自分の企画を提案し進めていく過程と同じです。
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