AIが正しく分類するためのお手伝い
AIによる異物の自動検出
出荷前のブロッコリーには、ごく小さな虫や異物が潜んでいることがあります。近赤外線LED光による撮影機器を用いると、目視では確認できない虫の姿を映し出すことができます。しかし、画像を一枚ずつ人が見て判断するのでは手間がかかります。そこで、AI(人工知能)が自動的に検出するシステムを考えます。
分類できるものとできないものがある
AIに異物を検出させるには、「虫あり」と「虫なし」の画像を見せて学習させます。しかし、何万件という学習データがあればなんでも分類できるかというと、現在のAIではまだまだ困難です。リンゴとイヌのように特徴が大きく違うものなら、人間と同等レベルの分類が可能です。しかし、全身が黒い鳥で、くちばしが赤いか黒いかだけの、専門家でないと見分けのつかないような微妙な違いを分類するのは苦手です。どうしても差の大きい部分を探してしまうため、目的の鳥ではなく、背景の違いの方に注目してしまうこともあるのです。AIに正しく分類させるためには、人間がお手伝いとして適切な前処理をする必要があります。黒い鳥の分類なら、画像の中でくちばしの部分だけを切り出して見せると、AIが着目できるようになり、正しく分類ができます。
分類させるための前処理
近赤外線LED光によるブロッコリーの画像では、ブロッコリーの房の影と虫の形が似ていた場合、AIは分類できません。そこで、虫だけにしかない特徴を探して、その部分を際立たせるような画像の前処理を行うことで、AIの検出精度を上げていきます。このような近赤外線LED光とAIを組み合わせた自動検出は、プラスチック食品トレーの孔や、外からは見えない枝豆の中の異物など、さまざまな応用が研究されています。
ディープラーニングが開発されて以来、AIは多くの場所で使われ始めています。AIがさらに発達すれば、AIだけで完結し、人間の手伝いは要らなくなるかもしれません。
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徳島大学 理工学部 理工学科 知能情報コース 教授 獅々堀 正幹 先生
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