効率的な配信を実現するPeer-to-Peerネットワーク

効率的な配信を実現するPeer-to-Peerネットワーク

配信がスムーズにいかないのはなぜ?

動画配信サービスのYouTubeで動画を見るときに映像が途切れたり、携帯電話の着うたをダウンロードするときに時間がかかったりしてイライラした経験はありませんか? 現状の音楽や画像などの大容量デジタルコンテンツの配信システムでは、特定の場所にサーバを設けて、そこにユーザーがアクセスし、ダウンロードする形が主流となっています。このようなシステムをクライアントサーバ型と呼びます。この場合、ユーザーのアクセスが集中しすぎると、サーバに負荷がかかってさまざまなトラブルが起こります。YouTubeの動画の長さが10分程度に限られているのも、画面が小さいのも、ファイルの要領を小さくしてサーバへの負担を軽くするためです。またユーザーとサーバとの距離が遠くなるほど、ダウンロードに時間がかかります。そのようなストレスを軽減していくため、次世代配信システムの研究が進められています。

Peer-to-Peerネットワークとは?

サーバを持たない配信システムとして注目されているのがPeer-to-Peer(ピア・ツー・ピア、P2P)ネットワークです。これはPeerと呼ばれる1端末同士でコンテンツをやりとりするもので、個々のパソコンがサーバになってファイルをコピーする形で広めていき、どこからでも身近なPeerからダウンロードできるようにするものです。ただしコンテンツを持つすべてのPeerが電源を落としている間はダウンロードできません。このようなファイルの拡散状況やダウンロードの可否などの情報を管理するサービスがあれば、より効率的な配信が実現できると考えられています。

今後の可能性

Peer-to-Peerネットワークは今後アプリケーションサービス面での品質アップが期待できますし、大きな設備投資が不要なので、広告媒体のようなビジネスモデルにもフィットしやすくなります。主流になるかどうかは、しばらく既存のシステムと共存する形で試された後に決まるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授 朝香 卓也 先生

東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授 朝香 卓也 先生

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通信・情報工学

メッセージ

システムデザインの分野は、時代の最先端をいく学問の一つと言えるでしょう。だから日進月歩で、どういう技術が出てくるかわかりません。今あるYouTubeが10年後も同じ形であるとは限らず、もっと新しいネットワークサービスが出てくるかもしれません。既存の焼き直しでない新しい技術を開拓できるという意味では楽しい分野ではないでしょうか。私の座右の銘は「一発ホームランよりヒットの積み重ねをめざす」です。新しいジャンルだからこそ、画期的なものを狙うより、着実に駒を進めて開拓することが大事だと考えています。

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東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。