ICTで農業を変革、それが「IoP」だ!
危機的な状況にある日本の農業
日本の農業の担い手は、高齢化が進んでいます。例えば農作業をするビニールハウス内は、作物の光合成を活性化させるため温度は30度以上にもなり、湿度も葉の気孔が開きやすい90%という高温多湿の空間です。高齢者にとって非常に厳しい労働環境となっています。また、農作物の成長には時間がかかるので、その都度試行錯誤しながらノウハウを身につけるには何十年もの時間を要します。農業経営体は年々減少傾向にあり、後継者不足の問題もあります。日本の農業は危機的な状況といえるのです。
ICTの力で農業の参入障壁を下げる
農家と一口にいっても、大規模農業から個人や家族で営む家族農業まで、その規模はさまざまです。農作物の収量を上げて利益を増やしたいのか、無理せず家族が生活できるだけの農業を続けたいのか、農家によって考え方も異なります。また、経験の長い農家であれば、収量を増やす方法やコストを下げる方法についての知識と技術があります。しかし、経験の浅い農家にとってそれは非常に難しいことです。そういった農業の諸々の問題をICTの力を使ってサポートするのが「IoP(Internet of Plants)」です。
勘や経験頼みだった農業をサポート
IoPでは人工知能(AI)や数理最適化の技術を用いて、集約された膨大なデータを活用し、これまで熟練者の勘に頼っていた部分をサポートします。例えば、「3週間後にこれだけの量を収穫したい」という場合に、肥料を増やした方がいいのか、気温を上げて光合成を促進させた方がいいのか、具体的にどう行動すればいいのかを明確にすれば、経験の浅い農家も効率的な農業が可能になります。高齢化の進む日本の農業において新規参入する農家の多くは40~50代ですが、経験を積んで経営が安定するまでには十年単位の時間を必要とします。IoPを活用することで、収益の増大や作業の省力化など、農家ごとの異なるニーズに応えられるようになるでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
高知大学 IoP共創センター 教授 岩尾 忠重 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
農学、農業工学、AI先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?