もっと気軽で負担の少ない自動運転システムへ

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自動運転のために必要な膨大なデータ

現在採用されている自動運転の技術では、車やロボットが目的地に辿り着くために、実際の街並みや道を詳細にスキャンして作成したマップと、細かい座標での目的地の指示が必要です。AI(人工知能)は、マップに合わせて運転するため、移動範囲が広がれば必要なデータはその分増えます。また、都市は建物や道の増減により頻繁に変化するため、その都度マップの更新作業が必要です。現在はその作業を人間が行なっていますが、先々の高齢化や人口減少を考えると、いずれ手詰まりになると考えられます。持続可能な自動運転システムの実現には、都市の変化を自動的に判断し、人間からの大ざっぱな指示でも目的地に辿り着ける、今よりも高度なシステムが必要です。

ゆるい情報から目的地に辿り着くには

人が場所を示す時に使う「ここ」「そこ」といった言葉があります。私たち人間は「ここ」の方が「そこ」より発言者の近くを示す言葉であると感じますが、実際にどのくらい近いのか、その定義は曖昧です。この感覚は状況によっても変化するため、これらの指示を数式化してAIに理解させる工夫が求められます。他にも「ぐるぐる」などの動作を示す言葉が、どれくらいの距離や速度、力加減を示しているのかを数式化することも必要です。こうした人間の感覚をAIに組み込めれば、「〇〇通りに入ってすぐの建物」といった情報で、車やロボットが目的地に向かうことができます。

自動運転システムの未来に向けて

このように人間が安心してロボットに作業を任せるには、より高いレベルの各種センサと高度なAIシステムを必要とします。もちろん、未来にどのような状況があるかはわかりませんが、技術はそのときにあるさまざまな手法を組み合わせることで発展してきました。どれか一つではなく多種多様な手法を試しながら、人間にとってもっと便利で、さらに柔軟な対応ができる自動運転システムの実現に向けて研究は進んでいます。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 情報理工学部 コンピュータ応用工学科 准教授 村松 聡 先生

東海大学 情報理工学部 コンピュータ応用工学科 准教授 村松 聡 先生

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情報理工学

メッセージ

情報理工学では、ロボットが世界をどのように知覚するのか、集めた情報をどう解釈させるのか、そして目的に適したロボットの体をどう設計していくのかについて総合的に学習できます。工学は「実学」なので、世の中で求められていることに気づき、役に立とうとする視点が重要です。そのためには、嫌いなことにも向き合ってみることをおすすめします。人間は好奇心があったからこそここまで発展してきました。嫌いなことにもその理由があり、それを知ることがあなたの未来へのヒントになるはずです。

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